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番外編 寂しがり屋のひとりえっち♡(2)★
(そっか。高山さん、帰ってこないんだ)
心の中で呟くと、急に寂しさが込み上げてくる。
いや、どうせ明日になれば会えるのだ。起きていても仕方がないし、今日はもう寝てしまおう――そう考えて、さっさと部屋の電気を消すことにする。
しかし、なかなか寝付けない。寝返りを打ちながら深呼吸を繰り返すも、一向に眠気が訪れる気配がなかった。
「眠れない……」
小一時間ほど経っただろうか。
ふと瞼を開ければ、高山の枕が目に入ってなんだか物悲しくなった。何となしに手繰り寄せてみると、微かに匂いが残っており、胸が締め付けられる心地がする。
(そんなつもりじゃ、ないのに――)
いつの間にやら、下腹部に熱が集まっていた。
侑人は下着の中へ手を入れると、己の欲望をそっと握り込む。ふとした罪悪感を覚えながらも、そのままゆっくりと上下に動かし始めた。
「んっ、は」
一度火がついてしまったからには、自身を慰める手はもう止まりそうにない。
高山に触られているときのことを思い出し、脳裏に浮かぶ手つきを真似てみせれば、先端からとろお……っと蜜が溢れだした。
その滑りを借りて激しく責め立てていくものの、侑人の眉根が切なげに寄る。
(っ、やっぱ物足りない。後ろが、疼いて……っ)
何度も高山に抱かれ、さんざん教え込まされた体だ。今さらこんなもので事足りるはずもないのだと思い知らされてしまう。
我ながら恥ずかしくてたまらない。けれど、どうしようもなくて、侑人はベッド脇のサイドボードへと手を伸ばした。
取り出したのはローションのチューブ。そして、つい先日購入したばかりの品が入った収納袋だった。
「うわあ……」
中から出てきたものを見て、思わず顔を引きつらせる。
――バイブレーション機能が搭載された、電動アナルビーズ。柔らかなシリコン素材をしており、全長は二十センチほど。直腸の奥まで届くような代物である。
(ネットでこんなのまで買っちゃって。俺、何してんだろ)
自慰の物足りなさと欲求不満、そして高山に対する恋しさが募った末に、魔が差したのだ。実を言うと、最近はすっかりこれに頼りっぱなしである。
侑人は下着ごとスウェットパンツを脱ぎ捨てると、枕を抱えながらうつ伏せになり、後孔にたっぷりとローションを塗りつけた。
アナルビーズの先端は親指ほどのサイズで、根本にかけて徐々にサイズアップしていく形状だ。もしものことを思ってセックスの準備はしていたし、これくらいなら潤滑剤さえあればすぐにでも入ってしまう。
「ん、ぅ――」
後孔にアナルビーズを宛がうなり、躊躇うことなく押し進めていく。
挿入はスムーズだった。ぼこぼことしたビーズの一つ一つが肛門を広げてきて、そのたびに何とも言い難い快感を味わう。
やがて根元まで埋め込んだのち、侑人は大きく息を吐いた。
(気持ちいい……っ)
無機質な道具を挿れているだけなのに、結腸の入り口まで入り込んでくるものだから、たまらなくゾクゾクする。
取っ手を掴んで引き抜こうとすれば、内壁が気持ちよく擦れて、さらなる快感をもたらした。弾力性の強い素材で出来ているせいか、密着感があって吸い付くような感覚を覚える。
「っふ……ぁ」
腹筋に力を入れながら、緩やかに最後まで引き抜いた。
それから再び奥まで挿入し、今度は少しだけ速く動かしてみる。すると、ビーズの凸凹とした感覚が鋭く伝わってきて、思わず腰が抜けそうになってしまった。
「あっ、ん、高山さん……」
侑人は枕に顔を埋めて、高山の匂いを嗅ぎながら行為に没頭していく。手つきも次第に大胆なものになり、気づけば夢中でアナルビーズを動かしていた。
ただ、いくら快楽を得られるとはいえ――やはり無機質なものに変わりない。
高山とのセックスのように、体の底から熱くなって、身も心も満たされるような感覚がないのだ。それが寂しくて、虚しくて仕方がなかった。
「高山さんのが、ほしい……よおっ」
瞳を潤ませ、切ない気持ちで呟く。よほど弱っているのか、自分でも驚くほど甘ったれた声が出た。
求めたところで仕方ないのに、と頭を振る――だが、そのときだった。
突然、玄関の鍵が開く音がしたかと思うと、バタバタと慌ただしい足音が近付いてくるではないか。
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