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第19話-2
自分で弄るのとは全く違うコントロールできない快楽の波がとめどなく押し寄せては、引くどころかどんどんと大きくなっていく。キスだけでも昂っているのにそこばかり弄られては自分を制御できない。
「は……ると……」
逞しい肩で顔を隠しながら、むずむずとする腰の奥の熱が次第に膨らみ、爆発しそうになるのを必死で堪えては熱を少しでも吐き出すために声を上げる。それが遥人を悦ばせより執拗にさせるとも知らず、ただ与えられる快楽に翻弄されていった。
胸だけなのに、しがみついていなければ崩れ落ちそうになる隆則は、必死で遥人のワイシャツを両手で握った。
「敏感すぎ……もしかしてまたデリヘル呼んだの?」
「して……なっああ!」
「本当に? 俺以外が隆則さんに触った?」
「ほっ……と、だから……んんっ」
久しぶりの執拗で強引な刺激に、腰が勝手に遥人の足にあそこを擦り付け始める。布に擦られる裏筋からより強い快楽が身体中を走り抜けていった。久しぶりに味わう痺れるようなそれに、隆則は自分を止めることができなかった。
(昨日もしたのに……我慢できないっ)
腰の動きが速くなっていく。キスの時からずっと燻っていた愉悦の炎が燃え上がり解放を望んでは腰の奥で暴れまわっている。動きを止められず、けれどここまま果てるのも恥ずかしくて、隆則は泣きついた。
「おねがっ……もお……」
なのに遥人はわざと隆則の身体から物理的な距離を取り、胸を弄るのも止める。
「え……?」
「答えてくれたら、して欲しいことなんでもするから……誰かに抱かれた? どうして乳首そんなに敏感なの?」
「あ……」
「言って、隆則さん」
優しい言葉で声は落ち着いているのに、その目の奥は怒りに満ちている。
(あの日と同じだ……)
デリヘルボーイに抱かれたといったあの時も、遥人はこんな目をしては初めてだというのに躊躇わず隆則を犯したのだ。何度も「遥人以外とはもうしない」と誓わされた時の遥人もこんな怒りを堪えた目をしていた。
「ない……誰ともしてないっ」
ゆるゆると首を振って近づこうとしてもまた一歩離れていく。
「敏感なのはなんで?」
恥ずかしくて口ごもるが、言わない限り与えられないのも分かっていた。
俯き、小声で漏らす。
「じ……ぶんで……してた、から」
「聞こえませんよ」
「っ……自分で弄ってたからっ」
「え?」
「だ……だって遥人がそこばっかり弄るから、弄らないと達けなくなって……」
恥ずかしさのあまりもう穴に潜り込んで埋もれたい。けれどマンションの脱衣所には穴などなく、埋もれるためにしゃがんで両腕に顔を埋めた。
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