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第19話-7

 本当に自分が悪いのだろうか。本来ならデリヘルボーイに相手をしてもらったって責められることじゃないはずなのにと思ってしまう。淫具くらいは許して欲しい。あまりに最奥を使ってのセックスの頻度が多すぎて、分身を弄っただけでは満足できない身体になってしまった。淫具を挿れ胸の粒を弄りながら扱きながら遥人とのことを思い出さなければ性欲一つ満たすことができない。そういう身体にしたのは他でもない遥人なのになぜここまで言わされなければならないのだろう。  悔しくて悲しくて、ポロポロと零れる涙を見られたくなくて腕で顔を覆った。 「ごめんなさいっ……泣かないで隆則さんっ」 「ひどい……そういう身体にしたの……君なのにっ」  鼻水を啜りながら恨み言を口にする。こんな風に心情をちゃんと提示したのは初めてだと気付かないまま、年甲斐もなくしくしくと泣き続けた。 「ごめんなさい……ダメだ、隆則さんのことになるとまだ自分をちゃんとコントロールできないですぐ嫉妬する……今のは俺が悪かったです、もう言わないから顔を見せてください」  ズズッと鼻を啜りながら、子供のように首を振る。 「顔を見せてください。ちゃんと謝らせてください、お願いします」  必死に懇願してくる遥人の様子を腕をずらし覗き見る。眼鏡をかけず髪を乱した姿は昔と同じようで、社会人になって大人びた彼ではなく、あの頃と変わらない情熱を自分にぶつけているのかもしれない。 (顔見たら絶対に許してしまう……でもこのままじゃ遥人が可哀そうだ……)  どちらが感情的に重いだろうか。天秤にかければあっさりと許すほうに傾くのは、こんな年上の男を自分のものにしたいとする彼の気持ちが嬉しいから。  まだ涙が溢れては来るが、少しずつ腕をずらしていく。遥人は急かすことはせず腕が顔から離れるのをじっと待ってくれた。上目づかいで見上げれば真摯な眼差しに捕らえられた。 「調子に乗って意地悪してごめんなさい。隆則さんが離れてても俺との約束守ってくれたの、嬉しいです。玩具にまで嫉妬してごめんなさい」 「……もういいよ」 「本当にごめんなさい……泣かせたこと、ちゃんと償うから……俺のこと好きでいてください」  そんな言い方、卑怯だ。嫌いになれたらとっくにしてる。自分から部屋を出たり生活費を渡したりなんかしない。たとえ裏切られたとしても好きな気持ちを消すことができなかったから、結局誰にも身体を許すことができなかった。プロに電話することすら躊躇ってしまうほど、この身体も心も遥人だけを求めている。

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