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【番外編】テストステロンのロマンス④*

 喉を突かれて擦られて、嘔吐感が押し寄せてくる。けれど、胃の中には何も入っていない。時たま、逆流してきた胃液が鼻から小さく吹き出す。そのせいで鼻腔が詰まって息ができない。視界が黒い緞帳(どんちょう)を下ろすように狭まり、身体の力が抜けてゆく。 「出すぞ」  何でもよかった、はやく解放してほしかった。喉の奥で性器がびくんと跳ねたあと、灼熱が食道を伝って胃に落ちてくる。景虎は、飲み込まないという選択肢を与えてはくれない。 「んぶっ、は……っぶあ」  苦しすぎてほぼ反射のように、一瞬緩んだ脚の隙間で顔を逸らした。まだ硬度を保ったままのペニスが、庄助の口から飛び出す。 「かっ……ゥ、はあっ、ヵあっ」  真っ赤になって咳き込む庄助の鼻筋と髪に、喉奥で出しきれなかった残りの精液がかかる。青臭くて濃い匂いにクラクラした。  睫毛を震わせて呼吸を整えている、蹂躙されたあとのかわいそうな生物じみた庄助を見ていると、景虎の征服欲が満たされる。が、 「ダメだ、全然萎えない」  乾いた砂地に水が吸い込まれるが如く、すぐに飢えて、また喰いたくなる。 「ひ、う……あはぁっ」  イラマチオのあと顔射までされて、まだ青息の庄助の腕を引くと、景虎は座った状態の腰の上に跨がらせた。  皮下を走る血潮が、庄助を胸まで赤く染めている。色づいた鎖骨を甘咬みすると、咳と一緒に声を吐き出した。 「やぁ、もうっ……いやや……っ」  拒む力は弱々しい。景虎が尻の間を探ると、埋めているプラグごと、孔がぴくんと動いた。 「ほら、ケツ上げろ。抜くぞ」 「ムリやってぇ……」  太腿に触れる景虎のペニスが、また挿入できる程度の硬さになってきているのが恐ろしかった。出したところなのに、あんなに乱暴にしたところなのに。 「なんだもうバテたのか、強くてワルい男のくせに」 「……マジで死ね! めちゃくちゃしやがってボケが!」  顔にかかった精液が、垂れて乾き始めている。気持ち悪くて洗いに行きたかったが、それ以上にむかつく。庄助は、いがらっぽい咳払いをして呼吸を整えると、景虎に向き直った。 「今更やけどお前な、男のフェラ顔見て射精してんの、フツーにド変態やからな!」 「そうだな。庄助も俺のチンポ舐めて勃起してるもんな。変態同士お似合いだ」 「クソクソっ、腹立つ~! ……あっ、はひ」  プラグの持ち手に指を引っかけて、トントンと中を刺激される。流線型の本体に軽い振動が伝わって、ナカを揺さぶる。感じている顔を見られる。  身体を無遠慮に開かれる感覚も、ひどくされているのに興奮して勃起したペニスを、じっと視姦される感覚も、景虎に『恥ずかしいけれど気持ちがいいことなんだ』と、時間をかけて教え込まれたものだ。  もう、なにをされたってどうしようもなく感じてしまって、それが業腹だ。 「は、わ……抜くなぁっ、んんっ」 「そんなにコレが気に入ったのか?」  「ちが……うっ、あぁ、ぐッ」  引っ張られ、プラグが粘っこい糸を引いて抜け落ちる。10センチにも満たない程度の長さなのに、抜けるときの肉を搔き分ける違和感に、庄助は鳥肌を立てて呻いた。  栓をされていた胎内から、ごぽっと音を立ててローションが溢れた。景虎は、腿に伝ったそれを押し戻すように、庄助の肛門に指先を挿れた。 「すごく柔らかくなってる。ほら、わかるか?」 「……あほっ」  ほぐれた入口を掻き回すと、まるで女の膣のようにぐちぐちと濡れた音がした。  温かく湿ってきゅっと締め付けてくる庄助の肉。その中に、吐精したばかりでもう待ちきれずに張り詰めた剛直をねじ込みたい。 「庄助、そのまま腰落とせ」  尻のあわいに擦りつけ、下から孔に押し当てる。庄助は、大きなため息を一つ吐いた。景虎を睨みつけながら、刺青の胸に手をつく。 「調子乗んなよ……っあ」  柔らかくなった孔が、景虎の鈴口に吸い付くように蠢く。少しずつ体重をかけて、苦しそうに飲み込んでゆく。庄助の右手を取り、自らの半勃ちのペニスに添わさせた。 「自分で扱いてるところ見せろ」 「い、いやじゃ、ハゲッ!」 「じっとしてろって、お前が言ったんだろ? 違うのか?」   言うと、油断している庄助の腰骨を掴み、ぐっと突き上げた。

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