59 / 170
【番外編】テストステロンのロマンス③*
ちっとも精を吐き出す気配のない肉の棒に、庄助は辟易する。さっきからずっと舐めているのに、全然萎えずに大きいままで、顎の関節がもう痛かった。
庄助はポルノ映像で女の子が一生懸命ペニスを咥えているのを見るのが好きだったが、こういうふうに景虎に、たまに奉仕させられるようになってからは「こんな長い時間、しんどそう」と少し同情するようになってしまった。
「んぐ……く、ゥ……っ」
ソファに座った景虎の長い脚の間で、頭を前後に動かす。口の中に入りきらないペニスの根元、伝った唾液が景虎の陰毛の中でねっとりと光っている。
「口の中の肉全部、チンポに密着させて扱くんだ」
「ぐ、ふぷ……っ」
そんなことを言われても苦しいし、歯が当たってしまいそうで、加減が難しい。口の周りも、陰茎を支えている指も、カウパー混じりの唾液でベトベトだ。しょっぱくてほんのり苦い、景虎の味がする。
むかつく、やったろうやないか。
いつもなら、顎が痛いとかもう飽きたとか言うところだが、今日の庄助は違った。
一旦唇を離すと、脚の間から景虎を睨みながら、屹立するペニスに持ち上げられた袋に小さくキスをし、そのまま舐め上げるように裏筋を舌でなぞった。
「……エロい舐め方ができるようになったな」
「うっさいわ……! んっ、きゅひっ……」
足の指で背筋から尻まで撫でられた。胎内に入っている“それ”を、ぎゅっと締め付けてしまう。
「やぅ、やめろっ……」
景虎に、フェラチオの間に自分で後ろをほぐせと言われたが、さすがに無理だと拒否したら、道具を挿れられてしまった。
ローションをたっぷり絡ませた黒いアナルプラグが、庄助の尻に入り込んでいる。
景虎がアダルトグッズを使って庄助を嬲るのが好きなのは庄助自身もなんとなく知っていたが、シリコン製のそれを挿れておけと言って手渡されたときは、さすがに絶望した。
「尻尾つきのほうがよかったか?」
「へんふぁいが……!」
尻をほぐしておけというのは、口淫だけでなく挿入もするつもりだということは庄助にもわかる。またいつものように、犯されて泣かされてしまうに違いなかった。
それでも今日だけはなんとなく、景虎に負けたくなかった。
「だまっへ、きもひよく、なっとけ……」
カリに舌を這わせると、小さく跳ねたペニスが鼻先を掠める。庄助はそういう、景虎の身体の小さな反応が嬉しかった。
「んっ、ん……ぶ」
自分も男だからわかる。唾液をたっぷり絡めた、あられもない本気のフェラが好いんだと。
亀頭を咥え込んで、視覚と聴覚にクるようないやらしい舐めかたで攻める。さっき景虎に言われたように、裏筋に舌を密着させて、口腔を窄めるようにしてグラインドさせた。
「……っ」
景虎が切なそうに息を呑む。庄助は、髪に触れてくる景虎の左手に、指を絡めた。
「へ……きもひ、いんやろ」
唇と肉茎の隙間から、庄助の得意げな声が聞こえた。娼婦みたいな口淫とは裏腹に、汗ばんだ指が縋るように、手の甲に爪を立ててくる。
「ああ……もう少しでイけそうだ」
絡めた手をきつく繋いで、庄助の頬に触れさせた。酸欠気味の目が、トロンと滲んでいる。
「いいへ……イっても」
「……本当に?」
「ええかや、はひゃく……」
「わかった」
庄助の腰の辺りを撫でるように彷徨っていた景虎のつま先が、不意に庄助の肩に巻き付いた。
「……んッ!?」
ふくらはぎで後頭部を押さえられ、喉の奥までペニスが侵入してくる。景虎は、咄嗟に逃げようとした庄助の頭を、繋いだ手ごと三角絞めの要領で、隙間なく固めた。
「んぎゅっ……ごっ……!」
あり得ないくらいに喉が広がって、隙間なく景虎の太いペニスが埋まってくるのがわかる。退こうとする頭が動かないので、今度は喉の筋肉が勝手に収縮して、異物を追い出そうとする。
「ま゙、やっ……がぼっ」
口腔内の酸素は、言葉にならない汚い音ともに出ていった。奥まで押し込まれて、唇や鼻に景虎の陰毛が触れる。
「庄助はこっちも名器だな」
揶揄ではなく、本当に感動したように景虎はこぼした。
目からは涙を、鼻からは鼻水を流して、庄助はそれでも景虎を強気に見返す。
「ふ、ぐっ、へう……!」
「は……ヤバいな。好きだ、その顔」
腰を動かしてもっと奥へ押し込むと、舌の根が痙攣する。景虎は、頬に触れている指で庄助の涙を拭ってやったが、次から次に溢れて止まらない。
ともだちにシェアしよう!