166 / 170

【番外編】スピカの後味⑧*

「なあ……もう挿れていいか。我慢できない、お前が……あんまりエロくて可愛いから」  そう言われて手を取られ、パンツの布越しに景虎の昂りを触らせられると、何も言えなくなった。血液でぱんぱんに太った先っぽが濡れていて、自分の痴態を見てこうなっているのだと思うと、庄助は耳まで真っ赤になってしまう。 「あ、あぇ……?」  パンツの中に窮屈そうに収まっているペニスを取り出すと、庄助の胎内のぬるさでふやけそうな指を抜いて、性急にぬるつく孔に擦りつけた。 「……あ、ちょっ……! 待て、そんな……!」  パシパシと胸の刺青を叩いてくる腕を、マットに押し付けた。庄助の目が不安そうに曇る。 「いっぱい気持ちよくなろうな」 「あっあ゙……! 嘘や、今、やめ……っひ」  ゆっくりと先端を埋めると、痙攣のように尻穴がひくひくと動いた。ぬめった温かい肉が、景虎の凶悪な亀頭に巻き付いてくる。  括約筋の抵抗を突破して中に侵入すると、握った手に力がこもる。 「……や、今、動かんといて……っ」 「痛いか? ゆっくりするから、奥まで入らせてくれ」 「ちが、痛いとかやなくて……っ!」  庄助が引けを取って身じろいだ瞬間、ずるんと思ったより深く中に沈んだ先端が、前立腺を抉った。 「お゙……っ!?」  甘くてゆるい、でも確実な快感が腰いっぱいに広がる。胎内でぎゅうっと大きなペニスを食い締めると、膨らんだ前立腺がどくどくと脈打っているのがわかる。 「は……っ、くぉ、お……! あ、あがっ……」  目の裏が明滅した。不意打ちされて、せき止めるものが何もなくて、気持ちいいのが垂れ流しになる。指で弄られっぱなしで限界近くまで上がっていた快感を、大きなペニスの侵入がダメ押ししたみたいだった。 「……ふ、すごい締めてくるな。挿れただけでイってる……可愛い。庄助、庄助……」  中で絶頂して勝手に出てくる涙を、景虎の形の良い唇が愛おしげに吸い取る。涙や汗や精液など、人の体液をすぐに口にするのは本当にやめてほしかった。  前立腺での深いオーガズムが引かないうちに、景虎は侵入を再開する。腰を持ち上げられ折れ曲がった腹の圧で、庄助の喉から潰れた声が出た。 「もう少しで入るから……続けるぞ」 「あぁぅ゙~っ! イって、る……のに、ひ、うぁ……!」  圧迫感に額に脂汗が滲む。熟れた肉が、鈍痛を伴いながらも屹立を迎え入れる。庄助が息を吐くたびに、景虎のペニスは奥に入り込んできた。 「庄助、いつもみたいに上手に息してみろ」 「は、あ゙、っは……ん、っく……ふぅ……っ」  子供に言い聞かせるように、景虎は囁いた。その優しい声とは裏腹に、早く体内に入りたがっているペニスがごりごりと苛むように内壁を押しのけて入ってくる。  こんなに苦しいのに、排泄孔で受け入れる事にもすっかり慣れてしまって、東京に来る前とは変わってしまった身体が恐ろしくなる。それでもここまで来ると、もはや辱められることに夢中になってしまう。 「んっ、んぅ……! ゔーっ、ぎひっ……っやああ……」  やがて腹の中が景虎でいっぱいになり、最奥の壁を太い先端でノックされるように突かれた。庄助はそれがどうにも苦手だった。気持ちいいのには違いないが、それ以上奥に押し込まれるとどうにかなってしまいそうで怖かった。 「……ここ、腸のまだ奥に、気持ちいいところがあるらしいな」 「お、こっ……怖すぎやろアホっ! それは絶対いややからな……殺す気かて……!」  硬いひだのある壁をペニスの先で突くと、庄助はかぶりを振った。  前立腺のあるコリコリとした部分を越えた、ひだのさらに奥の柔らかい内臓。いつかその中に、己のものを思い切り突きこんでみたいと、ずっと思っている。 「ふ、ク……あ、ああ゙っ! ひ、ん……っ」  男に組み敷かれるのに慣れ、尻の穴を犯されるのに慣れて、前立腺だけでイけるようになって。庄助の身体をどんどん淫らに変えてゆくのが自分だという事実が、たまらなく心地よかった。

ともだちにシェアしよう!