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第26話 ええええええええっっっ!!!?????
僕がいない間の記録石を見てるなんて気がついてないネロは、暖炉前で気持ちよさそうにうとうとし始めた。
この横柄な態度からはとても想像できないけど、寂しがり屋さんなんだなぁと思うと、布団に入ってくるのも構って構ってってじゃれてくるのもそりゃあね、って納得できる。
記録石の中のネロはさっきと同じく玄関の扉の前で寂しそうにピスピス、キューン……とウロウロしていて、しっぽも耳も可哀相なくらいしょんぼり。時々玄関扉をカリカリと引っ掻いているのが切ない。
記録石の中のネロ、マジ可愛い……!
こんなに寂しがってるなんて知らなかった。
もっと早く帰ってきてあげれば……いや、職場に連れて行くか? いやいや、狼はダメだろ。薬店だもん。
そんな事を考えているうちに、諦めたのか記録玉の中のネロがフン、と鼻を鳴らした。
その僅か数秒後。
まるでお風呂のあとみたいにブルブルブルッと身体を震わせた記録石の中のネロが。
一瞬で、人の姿に変化した。
「ええええええええっっっ!!!?????」
「わふっ!!???」
とんでもない出来事に、思わずでっかい声が出る。
真っ黒で柔らかそうな長髪。褐色の艶やかな肌。背中にはしなやかな筋肉が浮いていて、腰がキュッとしまっている。鍛え上げられた美しい体を持つその男のお尻には、見慣れたファサファサしっぽがしっかりついていた。
え……え……嘘。いや、そんなまさか。
気怠そうにコキコキと首を鳴らすような動作のあと、漆黒のふわふわ長髪を紐でササっと括ってスッキリした頭には、これまた見慣れた犬耳……もとい、狼耳がぴょこんと飛び出てて、もうカッコいいんだか可愛いんだか分かんない。
振り返って部屋の中をぐるっと見渡した御尊顔は、うわぁイケメン……! ってちょっと感動するくらい。
顔や体は人間。耳としっぽついてる。しかも狼に変身できる。
どう見てもこれって。
ギギギギギ……と立て付けの悪い扉みたいにゆっくりと顔をネロの方へ動かしたら、僕の叫び声にびっくりしたらしいまんまるお目々のネロと目があった。
「おおおおおお前、お前、獣人なの……?」
「わふっ!???」
「わふっ、じゃないよ! これ、お前だろ?」
記録石をネロの鼻先に突きつけてやれば、ジッと記録石を見ている。
記録石の中のネロらしき獣人は、もちろんなんなく鍵を開けてこの家を出て行った。そりゃあね! 器用な指があるんだもんね! そりゃあ外出だってわけないよね!
「……」
記録石を見つめたままネロが固まっているうちに、人が居なくなっていったん途切れた映像が再開され、今度はお風呂からネロらしき獣人が現れた。
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