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それを手に取ると、「まぁ可愛らしい」と安野が声を上げた。 「どちらもちゃんと折れてますね。小口が教えてあげたのかしら」 「私に渡したい物だと小口さんは言ってましたけど、これは⋯⋯」 「きっと大河様からのプレゼントでしょう。クリスマスが近いですし」 プレゼント。 今井が言ったことを頭の中でゆっくり反芻し、そして疑問に思った。 「⋯⋯どうして、私なんかにあげるのでしょう。⋯⋯私、大河に何もしてあげれてないのに」 大河はとてもいい子だ。きっと口が利けなくなる前も聞き分けのいい子だったのだろう。 食事の前後に手を合わせたり、靴を揃えたり、自分が遊んだ玩具などを誰かに言われるまでもなく、きちんと片付ける。 ⋯⋯そうして躾てくれた人がいたからこその今の大河があるが、そんな大河のようないい子のためのイベントである。 自分のように、大人で、それ以前にオメガとなってしまった時から、そして今は大河に何もしてあげてない悪い子の自分がもらう資格なんてない。 気づけば可愛らしい贈り物を持つ手に力が入っていた。 酷いことをしてしまっている。 泣きたくなるような感情に飲まれそうになっている姫宮の手に、安野が触れてくる。 「素直にもらってもいいのですよ」 静かに諭すように言った。 「なにもクリスマスは子どもだけのものではありません。『賢者の贈り物』のように大切な人に贈り物を贈り合ったりするのですよ。きっと大河様も姫宮様ことを大切な人だと思い、プレゼントしたのですよ」

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