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6.
適当な返事であったが、微笑ましげなものを見るような表情の彼女を背に、二人の元へ向かった。
大河が床に寝そべって何かを描いているのを、御月堂は膝をついて見ている最中だった。
大河は絵を描くのが好きなようだった。
一緒に暮らし始めて間もない頃に見るきっかけとなったお絵かき帳に、姫宮と大河と、そして恋人だと思っていた人などが描かれていた。
その絵がいつ描かれたか、あの人と再会するまで大河は姫宮とは会ったことがないはずなのに、かつての恋人とも写真を撮った記憶がないはずなのに、何がきっかけで描いたものなのだろうか。
そんな疑問は残るが、共に暮らす前からずっと好きだったことは伺える。
あの描いた絵から嬉しくて楽しい感情が伝わってくるのだから。
「愛賀、来ていたのか」
「はい。⋯⋯隣、よろしいでしょうか」
「それは全然構わないが」
大河のことを集中して見ていたからなのだろう、急に現れた姫宮に対して驚いているような顔をしている御月堂の隣に座った。
その大河はというと茶色のクレヨンで上部分を丸く、下部分は四角く、その間の左右には細長く描いているようだった。
「大河は何を描いているのですか」
「恐らく、さっきのハニワを描いているのだろう」
御月堂がそう言うので、改めて見てみると、胴体らしき部分に思いきり塗りつぶし、今度は黒のクレヨンを持って、目と口にあたる部分に丸く描いては塗りつぶしていた。
「⋯⋯本当ですね。可愛らしいハニワです」
「そうだな、さっき観たハニワを描くほど大河、たんはハニワが好きなんだな」
「大河たん⋯⋯」
先ほどの呼び方は聞き間違いではなかったようだ。
しかし、御月堂の口からそのようなことを言うとは。
呆然とする姫宮に気づいたらしい、御月堂はわざとらしく咳払いをした。
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