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「⋯⋯やはりおかしいことなのか」 「あ、いえ、おかしいというほどでは⋯⋯」 「いい、気遣わなくていい」 一瞬、突き放されたかのような言い方をされたかと思ったが、少しの間を置いた御月堂が口を開いた。 秘書の松下に子どもともっと仲良くするにはどうしたらいいのかと相談したらしく、その時松下が、 『こうやってにこにこーとして、わぁすごいねーとか大げさにリアクションしたり、褒めたりすれば基本的なコミュニケーションは取れるかと。うちの子はそうすると得意げな顔をしたり、にこにこーって笑い返してくれるんですよ』 途中からうちの子自慢を延々と聞かされたが、大まかなことを教えてもらい、それを大河に実行していたのだという。 久しぶりに会ったから、積極的に接していると思っていたが、そういうことだったとは。 彼なりに血の繋がらない子どもに対して、こんなにも気にかけてくれていると思うと、胸が暖かくなる。 「それにしても、御月堂さまの口から大河たんとは⋯⋯っ」 ソファに寝そべったままの小口が声を震わせていた。きっと笑っている。 そんなことを言われた御月堂は途端に眉間に皺を寄せた。 「言わん。もう二度と言わん」 「慶様がそう呼ぶと思わなく驚きましたが、新鮮でしたし、私はその⋯⋯慶様が可愛らしく思えました」 「それはお前の方だろう」 「え⋯⋯?」 頬にそっと手を添えてきた御月堂が真剣な顔をして見てきた。 「お前はただそこにいるだけで愛おしく感じる。その愛おしさを言葉にもしたいというのに、言葉を忘れてしまうほどだ」

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