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「一番にママさまのことを可愛いと思っているのは大河さまですもんねぇ」 「は⋯⋯」 「え⋯⋯」 御月堂もろとも漏れた声を出し、そうなのかと大河の方を見ると、今日の中で一番に大きく頷いていた。 それから持っていたらしい、ついさっき描いていたハニワの絵をこちらに差し出した。 「あ、えと⋯⋯上手く描けているね⋯⋯?」 困り笑いで精一杯褒めてみると、それでもなおお絵かき帳をずいずいと押し付けてくる。 それに押されて思わず受け取ると、どこで覚えたのか腰に手を当てて、ふんっとした態度を示していた。 小口が言っていることが本当ならば、一番可愛いママにプレゼントしたということだろう。 そうだと思うと、大河も可愛いと思える。 「く⋯⋯っ、身近に相手にしたくないライバルがいるとはな。しかし、どちらも愛おしい存在だ。むやみな争いをしたくない」 親の仇だと言うぐらい無遠慮に叩き出した大河に今度こそ撫でた。 と、驚いているようだ。叩くのを止めた大河が御月堂のことを見つめていた。 すると、御月堂が口元を緩めた。 自分に向けてではないものの、彼のその表情は貴重で、それには大河もまん丸な目をぱちくりさせていた。 「あの御月堂さまがそのような顔をなされるとは。大河たんが驚いてますね」 「小口、その呼び方をするのは止めろ」 「た、大河たん、良かったね」 「愛賀もか」 不満げに、しかし恥ずかしそうにも聞こえる御月堂に小さく笑ん顔を見せ、そう呼ばれると思わなかったと見ている大河の視線を感じながら、遠くで見守っていたらしい安野の「あぁ⋯⋯っ、姫宮様の『大河たん』の可愛らしさ⋯⋯! 何度も聞きたいです!」と歓喜に震える声を聞いた。 普段も賑やかであるこの空間は、御月堂が加わったことによってさらに賑わいを見せる。 そんないい雰囲気で、大河とそして、御月堂と今よりも仲良くなれたら、二人の色んな顔が見れたらないいと思う。 いつまでも絶えない賑わいの中、姫宮はそっと願うのであった。

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