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第22話 家政婦と化す < Side 瞬

 居候を始めてから、3ヶ月。  あの後すぐに、部屋は移動した。  礼鸞が言っていた通り、物置と化している部屋が、いくつかあった。  その一室を掃除し、自分の部屋として使わせてもらうコトになり、暇に任せて使わない部屋の片付けまでしていたら、食事の支度に加え、掃除も俺の仕事になった。  料理から掃除、終いには洗濯まで。ポチが(こな)していた仕事がじわじわと俺に譲られ、最近では、すっかり家政婦扱いだ。  ガタッと鍵のかかった扉を開けようとする音が響いた。  ―― ダン、ダンダン  玄関の引戸が叩かれ、ガラスの揺れる音が続く。  いつもは礼鸞かポチが家にいるが、今日は珍しく連れ立って出掛けていた。 「誰か来ても知らんぷりしていいから」  出かける直前に、礼鸞から言い渡されたそれは、居留守を使い、来客には対応するなというコト。  俺は素知らぬふりで、掃除を続けていた。 「居るじゃん」  聞きなれない声に、ばっと振り返った。  引戸の解錠音は、家の中までは届かない。  俺の瞳に映ったのは、金髪で遊び人風の柄の悪い男と黒髪で眼鏡をかけたインテリ風の男。  どちらも、顔見知りですらない。  のそのそと歩み寄ってきた金髪の男が、馴れ馴れしく俺の肩を抱く。 「もう、食われてんだろ?」  にたりと笑うその顔は、礼鸞の笑みとは違う下品な空気を纏う。 「ガキ、出来たらしいしな。抱けない女より、目の前の孔だろ」  近寄った黒髪の男は、俺の顎を掴み、顔を上げさせる。 「なんの話だよ?」  察しは、つく。  〝食われた〞という表現は、きっと俺が礼鸞に抱かれたのだろうという比喩で。  この2人は、俺を犯しに来たのだろう。  だが、俺は礼鸞に食われてはいないし、なんの恩もないこの2人に大人しく足を開く道理もない。 「なんの話もなにも、お前が選べるのは、暴れて痛い思いするか、素直に気持ち良くなるかの2択だよ」  俺の顔を上げさせている黒髪の男の顔に、綺麗な笑みが乗る。  微塵の感情も抱かない真っ黒な笑顔に背筋に冷たい汗が這う。

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