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第13話 無抵抗非暴力…不服従?
ヨコジマは俺に正対して座り直した。
「キサキが好きだって言ってんだけど、俺のことどう思ってるのか聞いていい?」
ど直球。
いきなり難易度の高い質問です。
答えを考えたまま黙っていると、また聞かれた。
「キス拒否らんかったり、手繋いだけど、どう思ってる?」
どうって、どう思ってるんだ、俺は。
「分からん…」
正直に答えてみた。
ヨコジマがゆっくりと身体を傾けて俺の顔に近づいてきた。
キスされる?!
期待と緊張でマジがちがちに固まってたら、何も来なかった。
鼻先10センチくらいで止まってる。
もうっ!何なんだよ。心臓に悪い!
不思議そうな顔をしたヨコジマが聞いてきた。
「何で泣いてるの?」
「だっ、ん。きっ、緊張してんだよ!!」
「緊張すると泣くの?」
「涙が勝手に出るんだよ!」
なるほど~、みたいな顔しやがって。
その顔が、今度はさっと近づいてすぐ離れていった。
あ、キスされたのか。
「で、どう思ってるか教えてほしい」
不意打ちのキスが一瞬で終わったことに苛立って俺は声を荒げた。
「しつこい!分かんないもんは分からん!
大体、俺の顔が好きとか、俺が好きとか、恋人繋ぎとか、お前のことほとんど知らんかったのに、こないだも、今もキスとかされるし!それで…それで…どう思ってるかって言われても、分かんねーよ!」
途中から自分でも何が言いたいのか分からなくなってきた。
「俺は!俺は!…う…うぅ、ぐすっ、ひっ、ひっく…」
涙も嗚咽も、感情も止まらなくなってヨコジマの顔を見ながら、泣いた。
ヨコジマは、目を逸らさずにいてくれた。
「…分かった、キスした後も手繋いでくれたから、期待してたんや。でも、そんな緊張されんやったらもう…」
消えそうになる言葉の続きをヨコジマが言う前に、俺は我慢できずに言い返した。
「もう、って何や?何なんや!?期待してたんだ、はこっちのセリフだ!アホ!いっつも、何回もちょっかい出しといては寸止めして!期待持たせては離れやがって!どあほっ!」
「え?」
ヨコジマの顔が、かしこそーな、やさしそーな、ねこ助けてころんじゃいそーな顔が…ぼぼぼぼ、と赤くなった。
「なんなんだよ!固まんな!」
俺は、ようやく自分の感情に屈服した。
散々自分に聞いといて。ホントに俺、アホや。
目の前で真っ赤になって目を泳がせている、俺より背が高くて男っぷりのいいヨコジマがみょーに可愛く見えて、気が付いたら腕を伸ばして抱きついていた。
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