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第1話
家政夫。それは雇い主のために、心を込めて世話をする仕事である。真白薫。家政夫紹介所ウーノでは人気No.1である。
「あの、かおるちゃん」
「はい」
「あたしの専属にならないかしら」
最初は表情をまったく変えない鉄仮面の薫に、嫌悪丸出しだったマダム。1週間の契約で彼の仕事ぶりに惚れたのだ。言い出すのはマダムだけではない。専属になればその分追加報酬が課される。
「お断りいたします」
「どうして」
「もちろん、四六時中マダム。
貴方と一緒にいるなんて、耐えられません」
おもいっきり頬を打たれて、薫は仕事場に戻る。叩かれたり泣かれたりはいつものこと。気にしない。気にする心さえなくした。
「おい、薫。またか。ほら氷嚢」
「ありがとうございます。
わたしはただ、正直にお断りさせて頂いただけです。香水の匂いがきついマダム。四六時中なんて耐えられません」
「おま、まぁ。それは言わなかったんだろ」
「貴方と一緒にいるなんて耐えられないは言いました」
「いいよ。それだけなら。次の仕事だ。
学校の寮の掃除。洗濯。食事を準備してもらいたいそうだ」
「分かりました。行ってきます」
学校に着いて門に手をかける。入ってすぐに職員室に行くように言われていた。門を開けた時、静電気のようなバチっと手の平に感じた。
「学校よりも寮が門の前にあるのか」
薫は不思議だとか、普通ならおかしいと思うことをさして気にしない。そうゆう学校もあるのだろう。物事を深くは考えない。考えたら考えた方が負けだから。思うようにしている。目の前に現れた寮にしてはいささか小さな洋館の扉を薫は開いた。中の悪臭漂う匂いと、洗濯物はぐちゃぐちゃに脱ぎ散らかされている。生ごみと普通のゴミが分別されていない。
「やりがいがありそうで」
持って来た掃除用具一式を床に下ろして、食材を保管するためにキッチンを探した。
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