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第20話

必需品を揃える前にやって来たのは、神殿。薫の身分証にスキルや種族を入れるために検査をするらしい。個人情報はあるみたいで情報は見られることはない。検査する人のみしか入れないらしく、薫が1人で神殿に入った。 「ふわぁ。どうぞー」 なんだこの人。やる気無さ過ぎる。眠そう。神官なんですよね。十字架の入った帽子被っている。 「あの、お名前は」 「知りたいの。名前」 「どちらでも大丈夫です。興味はありませんから。ごめんなさい。マナーかなと思いまして」 「おもしろ。おもしろいから教えてあげる。  名前。リーブ。よろ、しく」 「リーブさん。リーブさんですか」 「驚くような名前。普通に居るよ。たぶんね。  さん。いらない。年上だよね。たぶん」 「見えませんよね。名前だけ。  薫。29歳。リーブの種族は」 「彪だよ。見えないでしょ。ここ。  中に水晶あるから。水晶の側。身分証置いて。  光が身分証に入る。なるべく早く出てきて」  リーブがなんだか焦っているように、薫には見えた。さっきまでのんびりやる気無さそうだったのに、今はかなり焦っている。どうしたのだろう。早くした方が良さそう。 「分かりました」 入って、なんの神様かは分からないステンドグラス。十字架。十字架の下に台座があり、水晶が置かれていた。 「身分証を水晶の側に置いて。手をかざす」 眩い光が水晶から放たれた。光が身分証に入り、これで終わりのはずが、光は収まらず薫の中に入った。両手が微かに光っている。 「何これ。身分証をしまって。出よう」 部屋を出るとリーブが眠そうな顔で待っていた。 「早く。行こ」 リーブが薫の右腕を掴み走り出そうとした。何処から現れたのか、ぞろぞろ神官が出てきた。服装は神官なのに、神官に薫には見えなかった。 「リーブ。やってくれたな」 先頭にいた神官の手に棒状の何かが見えた。掴まれていた右腕を外して、リーブを庇うように前に出る。頭部に痛みを感じて意識を手放した。

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