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「申し訳ないのですが、ちょっと出かけたいので、小口さん、大河のことをよろしくお願いします」 一通りの家事が終わり、一旦部屋に行ったらしい姫宮が再びリビングに来たかと思えば、言葉通り申し訳なさそうにそう言ってきた。 実子である大河とどうにか接しようとするか、部屋に籠っているかの二通りしかない人がそのようなことを言ってくるとは思わなく、皆が皆が一斉に姫宮を見、誰もが訊ねるが前に安野が声を上げた。 「お出かけに!? どこに行かれるのですか! 一人では危ないですよ、誰かと一緒に行きましょう」 「あ、いえ⋯⋯そこまでではないかと⋯⋯それにすぐに帰りますので」 いつもの姫宮大好き極度の心配症の安野がぐいぐいと距離を詰めるものだから、姫宮が引いていた。 それをすかさず「大好きな姫宮様が引いているじゃないですか」と今井が二人の間に割って入った。 「いつもすみません⋯⋯」 「いえ。それよりも安野クマが襲いかかる前に行ってください」 「クマ⋯⋯あ、はい」 「誰がクマですって!」 促された姫宮が足早に去るのと同時に、安野が怒りの声を上げた。 「クマみたいなものです。引きまくっている姫宮様にこれでもかと距離を詰めているのですから。毎度止めに入る私の身になってください」 「それはそうですけど······。だけど! あの大河様と御月堂様以外興味が向かないお方が、自らお外に行かれたのですよ! 何しに行ったのか私はすごく気になりますよ! あ、もしかしたら御月堂様とおデートの約束をしているのかしら!そうでありましたら、私がコーディネートをしてあげましたのに!」

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