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「あの格好でも素敵ではありますが、おデートであればもっとふさわしい格好せねばなりませんしね!」と鼻息荒く力説する安野に、他の人達は「あーはいそうですか」と半ば興味がないといった反応で返していた。 「もし仮に御月堂様とデートであれば、どこかに待ち合わせというよりも、御月堂様自ら迎えに来そうな気もしなくありませんね」 「確かに。あのお方顔には出ませんが、態度で考えると、姫宮様を公衆の面前に晒したくなさそうな感じがしなくもありませんね」 「姫宮様の方に関しても、なんだか一人にさせたくないと私も思いますし」 今井を皮切りに上山と江藤はそう口々に言い、江藤の言ったことにうんうんと頷いていた。 普段の姫宮から察するに、自身のことさえどうなってもいいという節があり、デートの定番である待ち合わせをした時に良からぬ相手に抵抗ができなさそうで、最悪、と嫌な考えが過ぎってしまうほどだ。 「一人で買い物だとしても、やっぱり危険だわ。ここは私が行くべき⋯⋯!」 「姫宮様が一人で行きたいというのに、特に安野さんなんかが行ってしまったら、気疲れしてしまうでしょうよ。一番に好きなのですから、もう少し姫宮様のことを尊重してください」 やや強い口調で今井に言われ、「そうだけど⋯⋯」と言いたげな安野との会話に割って入るように上山が、「だとしたら、安野さん以外の誰かということになりますね」と言った。 「ですが、私は今ちょっと手が離せなくて⋯⋯」 「私もいつ安野さんが飛び出してしまうのを阻止せねばならない重要な役割がありますし」 「とすると、消去法で私ですか。別に構いませんけど」 エプロンを外し、身支度を整えようとする江藤に「やっぱり私が!」と安野が元気よく手を上げた。

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