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広いフロアの中、迷いに迷っていた姫宮が行き着いたのは寝具コーナーであった。 枕を手に取って弾力を確かめている様子の彼に、なるほどと納得した。 枕はさすがに使っている本人じゃないと分からない。 無理をしてでも買い物に来た理由が分かり、ことの成り行きを見ていた。 しばらく色んな枕を吟味していた姫宮だったが、どれもしっくりと来なかったらしく、落胆している様子だった。 その気持ちは分からなくもない。 江藤自身も色んな枕を確かめて、それとなくしっくりとくる枕を使っている。 本当にこだわる人であれば、オーダーメイドするほどらしい。 いい枕に出会えなかったら、それとなく言ってみて、そうさせてみようか。 誕生日プレゼントと称してあげるのもいいかもしれない。まずは、誕生日はいつなのかと聞いてみなくてはとあれこれ考えていると、周りを見渡していることに気づいた。 「⋯⋯他にも何か探しているのかしら」 ぼそりと呟いていると、姫宮は商品棚に沿うように歩いていき、そのまま裏の方へと行った。 追いかけなくてはと、やや急ぎ足でその裏側へと行った時、心臓が飛び出そうになった。 枕コーナーの裏は抱き枕コーナーだったらしく、それらをじっと見ていたのだ。 急ぎ足の勢いで行っていたら、気づかれていたところだった。 間一髪のところで棚の陰に隠れる。 姫宮は最初、ウサギを手に取ったかと思ったが、棚に戻し、次にチンアナゴを手に取り、じっと見ていたかと思うと、再び戻した。 枕の時のように何度も手に取っては戻しをくり返して、江藤の体感時間だとかなりの時間が経った頃。 決まったらしい姫宮がそれを持って、会計場所へと向かっていた。 姫宮が買おうとしている物、そうそれは、ハニワだった。 抱き枕らしく胴が異様に長く、抱きつきやすいよう細身となっているそれに見覚えがあった。

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