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騒ぎを駆けつけた店員らに手短に説明し、謝罪をした後、また何かしらで姫宮が転ぶかもしれないと万が一のことを考え、先ほど購入した抱き枕を持ち、「軽い食事をしましょう」と同じく施設内にある喫茶チェーンに入った。 「はい、姫宮様。先に見てください」 「あ、ありがとうございます」 席に着いた時、メニュー表を姫宮に渡してあげた。 自分の方が先に見ることに抵抗があるのは、さっきの買い物からして選ぶのに時間がかかるからだろう。どちらが先だろうが後だろうが同じことだ。 だから、「私のことは気にせず、ゆっくりと選んでいいですからね」と一言添えた。 なるべく彼を気にさせないようにしようと、店内をゆっくりと見渡した。 落ち着いた色合いの店内に、それぞれの席から声を潜めた会話らしい声が聞こえてくる。 心が落ち着いてくるのを感じていると、「決まりました」と遠慮がちな声が聞こえてきた。 姫宮からメニューを受け取った際、姫宮が決めたものを聞き、「私もそれが食べたくなってきましたね」と口にし、姫宮のと同じものにしたくなり、それと軽食と飲み物に決めた。 それを店員に注文し、去った後、江藤は口を開いた。 「姫宮様、イチゴのタルトを頼みましたが、イチゴがお好きなのですか」 「好きというほどではありませんが、こないだ大河のおやつとして作ったイチゴのタルトがまた食べたくなりまして」 安野に教えてもらいつつも、ちょっと形が崩れてしまったタルトを大河のために作ってあげたのだ。 その時、大河が自分の作ったもののせいでイチゴのタルトが嫌いになったら嫌だからと、試食──姫宮にとっては毒味──をしたところ、思っていたよりも美味しくできたようで、小さく頬を緩ませていた。 そのことを目ざとく見つけた安野が「姫宮様! 素敵なお顔ですねー!」と黄色い声を上げていた。 それはともかく。

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