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ー友情ー3

 望は救急隊員に話を聞くと、その患者さんを一旦処置室へと運んで、処置や検査を終えるとすぐに手術室に向かった。  検査の結果、患者さんは足を骨折しているだけであることが分かった。 しかし、手術を終えたばかりということもあり、念のために今日はICU室へと運ばれていく。  ICU室は重症な患者さんや重体で意識のない患者さんがいて、看護師が交代で様子を見守る場所である。  その患者さんが手術してから数時間後。 朝日が顔を出した頃だろうか。 患者さんは目を覚まし、周りを見渡し始めた。 人間というのは、そういうものだろう。  目を覚ますと自分が全然知らない場所だと気づくと、自然と周りを見渡してしまうものだ。 昨日、春坂病院に運ばれてきたその消防士もまた、周りを見渡していた。 白い壁に白い天井。 自分の家ではないような感じに、 「ん? ここは?」  と、無意識のうちに口にしてしまっていたのだ。

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