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ー友情ー37

 一方、望のほうは部屋を抜け出した後、屋上へと向かうと、シャツのポケットから煙草を取り出し、火を点けながらため息と共に白い煙を吐き出した。  そして、屋上にあるフェンスに寄り掛かりながらしゃがみ込むと、 「あー! もう! どうしたらいいのかっていうのが分からないんだよっ!」  と、誰もいない場所で叫ぶ望。 しかし、ここは病院の屋上。 その望の声が誰かに届くわけもなく、ただただ空へと消えて行くだけだった。  また、しばらくして雄介は完全に回復し、望の方も返事をしないまま、雄介は退院してしまう。  そして、望と雄介の間には何も進展せず、数ヶ月が過ぎ去っていく。  一方、和也と望は再び仲良しコンビとなり、午前中の外来で診察をしていた。 季節は冬が過ぎ、春の青い風が吹き抜けて暖かくなる頃。 鳥たちも嬉しそうに飛び回っている。 望は午前中の診察がひと段落したところで、時計の方に視線を向ける。 「……後、三十分位でお昼だな」  そう望の言う通り、診察室にある振り子時計が十一時半を差していた。 「外科外来はそうそう午後まで掛かるって事はないからな……ま、望の処置が早いっていうのもあるんだろうけど」  そんな普通の会話をしていた和也と望なのだけど、和也の方は病院特有の消毒液の匂いに飽きたのか、窓際の方へと向かい、少ししか開いてなかった窓を全開にし、空を見上げる。  今日は暖かい陽気で雲一つない快晴だ。 やっと春らしくなってきた季節に肩の力が抜けていくような陽気だ。 「今日は快晴だったんだな。 お花見日和なんだろう? 花見行こうぜ!」 「まだ、桜の方は咲き始めたばかりだ。 まだ、花見には早いよな」 「まぁ、桜はまだだとしても梅の方は満開だって患者さんが言ってたなぁ」  そう和也と望は他愛の無い会話をしながら平和な時を過ごしていたのだが、何処か遠くの方から救急車のサイレン音が聴こえて来る。  確かにこの病院に救急車が来るなんて日常茶飯事な事なのだが、聴こえてくれば少なくとも気になるものだ。 「やっぱり、ウチの病院に来たみたいだよな」 「ああ、やっぱ、相変わらず忙しい病院って事だよな」  サイレン音と共に救急の入口の方に入って来た救急車。  望は何気無くその様子を見ていると、何やらいつもと何かが違うような気がしたのか、望はその救急車の様子を見ていた。 「……!?」

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