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ー記憶ー24

 どんなことがあっても、睡眠だけは十分に取っておかないといけない職業である望。 特に仕事がない日は睡眠を取れる日なのだから、プライベートなことで悩んで睡眠を削るなんてことはできない。  そう、睡眠不足は仕事に影響してしまうからだ。 また、そんな滅多なことでは睡眠を取れるわけではない職業でもある。 例えば、睡眠不足で仕事中に睡魔が襲ってくれば、医療ミスにつながる恐れだってある。  だから睡眠は取れるときには取っておかなければならない仕事だ。  次の朝。  それでも雄介からの連絡はなかった。  プライベートのことで仕事を休むわけにはいかず、望は出勤すると開口一番、和也が、 「雄介とは連絡取れたのか?」  そう、和也は望に問うのだ。 「まだだよ……。 お前の言う通り、俺からは連絡入れた……だけど、アイツからは連絡はないままだ。 それに俺の方は留守番電話にもメッセージも入れておいたんだけどさ」 「そうか……」  和也は望のその言葉にため息を吐くと何かいい考えを思いついたのか、すぐに顔をにやつかせ、 「ま、まぁ……とりあえず、仕事をしなきゃなんねぇんだから、仕事するぞ!」 「ああ」 「そんな暗い顔してねぇで……とりあえず、雄介のことは俺に任せてくれねぇかな?」  そう言うと和也は望に向かってウィンクするのだ。  望だって和也のことをよく分かっているつもりなのであろう。 だから今回のことに関しては和也に任せた方がいいと思ったのかもしれない。  そして午前、午後の仕事を終わらせると部屋へと戻って来る二人。 「やっぱりか……」  部屋へと帰ってくると、望は早速携帯を開いてみるのだが、雄介からの連絡はなかった。 「まだ、雄介からの連絡は来てねぇのか?」 「ああ、まぁ……」

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