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ー記憶ー33

 雄介にも仕事がある。 雄介も望同様に人の命を預かる仕事だ。 やはり雄介の方も睡眠は欠かせない仕事なのだから、プライベートに時間を取られている暇はないとでも思ったのか、お風呂へと入るのだった。  数日後の夕方。  雄介は数日前、望に言ったように望が働いている病院の方へと足を向ける。  望が勤務しているのは春坂市にある春坂総合病院。 この地域では大きい病院で外来用の駐車場と職員用の駐車場があり、望たちは職員用駐車場の方に車を止めていた。 勿論、仕事が終わってから出てくる玄関も外来患者とは違う場所にある。 病院の正面入口の反対側にあるのが職員用出入口だ。  前は望が雄介が働く消防署の方に足を向けていたのだが、今日は雄介が望のことを迎えに来ていた。  夕闇のなりかけの十八時三十分。  だがまだまだ望が出て来る気配はなく、オレンジから黒色へと変わっていくグラデーションの空を見上げる雄介。  その時だろうか、次から次へと職員が仕事を終わらせ出てきている中、雄介はそちらの方に視線を向けると、その人々の合間に雄介が知る人物が出てきたのだろうか、雄介はその人物たちに向かい手を振り、 「よっ!」  そう言いながら雄介は望と和也の側へと向かうのだ。  その雄介の姿に最初に気付いたのは和也だ。 「あ! 望!」  そう和也は望のスーツの裾を引っ張りながら雄介が来ていることを知らせる。 それと同時に望は雄介の方へと視線を向け、 「……へ?」  望は和也に言われて和也に言われた方へと視線を向けると、そこには雄介の姿があったようだ。  それに気付くと望は足早に雄介の元へと近付く。 「お前……何でここに?」 「この前、会いに行くって言ったやろ?」 「あ、ああ……まぁ、確かにそうだけどさ。 え? あれ? お前、そういや、ここまでどうやって来たんだ?」 「え? あ、まぁ、走ってやけど……」 「雄介は車は持ってねぇのか?」 「それは、流石に持っておるんやけど、家から仕事場まで近いし、家から、ここまでもそんなに遠くはないしな……せやから、最近は車使わんって所なんかな?」 「そうなのかだったのか」

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