154 / 1471
ー記憶ー98
そして、今日もまた雄介は誰もいない家へと帰宅する。
明後日は再び面会時間から面会終了の時間まで居られるだろう。 和也が語るには、日常の会話には問題がないとのこと。 先ずは友達として近づいていくべきだろう。 無理に記憶を戻そうとすると逆に困難かもしれない。 今は、とりあえず望の記憶が戻ってくれることを祈るばかりだ。
「まぁ、今は少し寂しい気もするけど、望が死んでしまうよりは生きているんやし、それはそれで十分やしな」
前向きに考えると、帰宅して料理を始める。 料理を食べながらテレビ番組を見ているが、やはり何かが足りない気がする。 もう独り暮らしをして長いはずなのに、今はこんなにも寂しさを感じる。 それは、雄介の隣に望がいないからなのかもしれない。
ともだちにシェアしよう!