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ー記憶ー106
望の言葉にクスクスと笑う雄介と和也。
そう、二人も初めてこの家に来た時に、今の望と同じ反応をしていたことを思い出していたのだ。
「なんで、二人とも笑ってるんだよー?」
望は二人に対して頬を膨らませてまで抗議している。 きっと望からしてみたら、二人に仲間外れにされた気分なのであろう。
「いやぁーな……誰も望の家を見た時の反応って同じなんやな……って思うてな」
「じゃあ、和也もお前も同じ反応をしてたって事なのか?」
「ああ、まぁな……」
今の望の言葉に一つ引っかかる言葉があったような気がしたのだが、雄介は一応返事をしておいたようだ。
そう、望は和也の名前はしっかり言っていたのに、雄介のことは『お前』と呼んでいたからだ。
それはそれでいいのかな? とは思いながらも、雄介は車を車庫へと停める。
「んー! 久しぶりに運転すると疲れるわぁ!」
「じゃあ、俺が運転してくればよかったじゃねぇか」
「いやな……たまには俺も運転せんと、鈍ってまうんやないかと思うてな」
「なら、言うんじゃねぇよ……」
和也はそう雄介に突っ込みを入れ、車を降りていく。
雄介はトランクの方を開け、荷物を下ろし望の家へと向かっていくのだ。
「望……ちょい、スマンな」
雄介はそんな事を言うと、徐に望の上着のポケットに手を突っ込んで望の家の鍵を拝借すると、鍵を開ける。
そう、まだ雄介は望から望の家の鍵を渡されていなかったからだ。
……一緒に住もうか?
と言われたのは、望が記憶を失くす前のことであり、しかも一緒に住むということも実行されないままでいたのだから。
そう、雄介は望から合鍵なんて渡されていなかったから、望のポケットから家の鍵を拝借する。
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