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ー記憶ー107

 家の中に入ると、雄介と和也は望に家を案内する。  しかし、彼らが知っているのは一階の部屋のみで、リビング、キッチン、トイレ、バスルーム、そして客室の位置しか案内することができなかった。  たぶん、雄介だけが二階にある望の部屋を案内できるだろう。  とりあえず、主に使用される部屋はこれだけだから、問題ないだろう。 「もう、望は疲れてるだろ? 自分の部屋に行って休んだらどうだ? そこは、まぁ、雄介が案内するしかないだろうなぁ。 望の部屋を知っているのは雄介だけだからな」 「あ! ああ……そうやんなぁ」  和也に言われて、雄介は望のことを二階にある部屋に案内する。  雄介は望をベッドに寝かせて部屋を出ようとしたが、 「ちょっと……待って」  望に声をかけられて、雄介は足を止める。 「ん? 何?」 「お前、本当は俺の従兄弟じゃねぇんだろ? 普通、従兄弟同士だったら、ここまでしないんじゃねぇのかな? ま、せいぜい、ここまで優しくしてくれるのは親か恋人ぐらいなんじゃねぇのか?」  望の言葉に、雄介は身動きが取れなくなる。  もしかしたら、これまでの雄介の行動が逆に余計なことだったのかもしれない。 確かに、望の言う通り、親戚同士の関係では、ここまで世話を焼いてくれる人はそう多くはないだろう。  そして、雄介は休みの日にも望の病院に通い、パジャマや身の回りの物を買っていた。 望の世話もしていた。  そう考えると、望の指摘は確かにもっともだった。 従兄弟同士の関係では、ここまで世話を焼くことはないだろう。 しかし、日常生活や常識的なことに関しては問題ないように思えた。

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