165 / 1471
ー記憶ー109
いつの間にか変に仲良くなった和也と雄介は、何故か呼吸までもが合っている。 片方が火の担当をしていると、もう片方は切る担当へと回り、夕食のおかずを作り上げていく。
「よっしゃ! 出来たな!」
と和也が叫ぶ。
「おう! ほら、望に渡して来いよ。 あー、でも、望に早く家に慣れてもらった方がいいかぁー。 じゃ、あれだなぁ、望をここに呼んで皆で食べようぜ」
「せやな。 ほな、俺、望んこと呼んで来るわぁ」
と雄介が返す。
「ああ、よろしく」
そう言うと雄介は二階にある望の部屋に向かい、ノックをすると部屋の中へと入る。
「入んでー、皆と下で食事せぇへんか?」
と雄介は満面の笑顔で再び望の部屋へと入るが、部屋に入って声を少し震わせる。
「の、望? そ、それ何見てるん?」
「ん? ああ! これか? 自分の携帯。 さっきさぁ、さっき着てた服のポケットに入ってたんだよ。 それで見てたらさ、あることに気付いちまったんだよなぁ。 そう、俺とお前は従兄弟同士ではないことにな!」
「はぁ!?」
望の言葉に、雄介は混乱する。 少なくとも、雄介が口を滑らせて従兄弟同士ではないと言ってはいないはずだ。
よくよく望の方を見てみると、望はあの日スプリンクラーで水没してしまい、データが全部吹っ飛んだと思われていた携帯を開いていた。
「証拠、見せてやろうか?」
と望は自分の携帯を雄介に投げ渡す。
ともだちにシェアしよう!