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三章ー天災ー1

※こちら天災は、地震要素が含まれる為、苦手な方はお気を付けてお読み下さいませ。尚、この3章を抜いて読んでも次の章からでもお読み頂けます。  二人はあの日から共に暮らすようになった。  しかし、彼らは両方とも忙しい仕事に就いており、なかなか本当に会うことができない生活を送っていた。  特に望は医者という仕事柄、不定期の休みしか取れない。 その休みもまちまちである。  雄介も同様で、二十四時間勤務の後の休みの日でも、望が遅く帰宅すれば、ほとんど会えないこともある。  同じ屋根の下に暮らしながらも、彼らはすれ違いの日々を過ごしていた。  身近にいるはずなのに、遠く感じられる存在。  まるで遠距離恋愛をしているかのようだ。  ただし、異なるのは同じ屋根の下にいるという点だけだ。  もう一つの違いは、同じ屋根の下にいるからこそ、お互いの温もりを感じることができるということだろう。  同じ屋根の下に住んでいるにも関わらず、こんなにもすれ違う生活が起こるのはなぜだろうか。  いや、彼らが特殊な職業に就いているからこそ、このような生活を送ってしまうのかもしれない。  それは神様のいたずらなのか? いや、違う。 これは彼らにとって現実的な問題だからだ。  しかし、誰もが彼らに追い討ちをかけるような出来事が起こるとは思っていなかった。

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