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ー天災ー17

「……そういう事かいな。 今までのは夢でもなかったっていう訳やんな。 やっぱ、俺……ちゃんと人命救助しておったって事なんやなぁ」  手を天へと翳すと、その手には消防用の手袋がしてあって、さっきあった事を思い出す雄介。 「さ、坂本!」 「あ、ああ……なんだよ」 「子供は……助かったんか?」 「ああ、お前のおかげでな。 今は念の為に病院の方に行ってるけどさ」  雄介はその話を聞いて安心したのか、安堵のため息を漏らし微笑む。 「やっぱ、人助けた後っていうんは清々しい気分になるな!」 「そうだな」 「ところで、子供はどうやって助かったん? もう、俺の方はあの場でアカンって思うておったのに……」 「それか……? ああ、それは、お前があのマンション内に入って行ったのを目撃してたから、俺が上に行って、その後を追っかけたんだよ。 それで十階で倒れているお前と子供がいたから助けたんだぜ」 「そうやったんかー! それなら、ホンマにホンマありがとうな。 だってな、もう、絶対助かんないって思うとったからな」 「ああ、当たり前じゃねぇか……だって俺達親友だろ?」  そう二人はそこで助かった喜びを分かち合うのだ。  あの時、雄介はあの男の子の親の言葉を耳にしていた。 命令違反だと分かっていても、子供の命が助かっていたのなら、それでいいと思う。 それは人の命を助けた者にしか分からない事なのだから。

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