229 / 1471

ー天災ー50

 この状況では直ぐに復興できる状態ではないだろう。  雄介が最初テレビで見た時は嘘だと思っていた。 だが、今東京に来て地震が本当にあったんだと思い知らされた瞬間でもある。  そう雄介が思いに浸っていると、 「何、ボッーとしてんだよ!」 「あ、いやな……今まで見てきた街並みが、ホンマに無くなってしまったんやなって思うてな」 「ホント、怖いよな……自然って……。 それは後でって事で、今は元気な俺達が働かないとだろ?」 「ああ、せやったな」  雄介は和也にそう言われて物資を運び始める。  暫くして物資を運び終えると、いつの間にか外は夕方になっていた。 そんな事があっても時間は動いているという事だろう。 これだけの災害が起きても時間だけは勝手に進んで行くのだから。  今日も一日を終えた太陽だけが静かに沈んでいくだけだ。  そしてまた闇に包まれる世界へと変わる。  雄介はこのままここでレスキュー隊として働く事になっていた。  今日の作業はここまでという事になったらしく、望と和也は雄介を連れて病院内にある部屋へと向かうのだ。  部屋に入ってからの望は雄介と話そうとはしない。 勿論、雄介もだ。 望の方は雄介の事を許してる訳もなく、雄介の方は急に望の前からいなくなってしまった事を申し訳なく思っているから、二人の間に沈黙した世界が流れているようだ。  じゃあ何の為に和也は雄介をこの部屋に連れて来たのかが分からなくなってしまう。  そんな中、和也はこのままでは話が平行線になってしまうと思ったのか、雄介の事をソファへと座らせるのだ。  そう、望の方はもう雄介とは話をしないと言わんばかりに部屋へと入ると、自分の机に向かってしまっていたのだから、ここは和也がどうにかしないといけないと思ったのであろう。  和也は雄介を座らせた後に、自分も反対側にあるソファへと腰掛け、雄介の事を見上げる。

ともだちにシェアしよう!