230 / 1471

ー天災ー51

「……で、雄介は何で望には何も言わずに東京を出たんだ?」  そういきなり和也にそう振られて、雄介は顔を俯けたまま黙っていた。 「何も言わないと話が続かないだろ!? 何とか言えよ! 望のこと幸せにしてくれるのはお前じゃなかったのか!? 確か、俺、そんなことをお前に言ったよな?」  和也の言葉が正論過ぎて、雄介の方はますます言葉に詰まってしまっているようにも思える。 「ホンマ……スマン……」  やっとのことで、雄介の口から出たのは謝罪の言葉だ。 「あのな……謝らなきゃいけねぇって思ってるなら、何で、そんなことしたんだよっ? そう言うってことはさ、雄介は望に何で謝らなきゃいけないってことを分かってて言ってるんだよな? その理由が分かってなきゃ、謝る意味がないんだぜ。 だから、その理由を言えって言ってるんだ!」 「ホンマ、スマン……。 その理由みたいなのを言うとただの言い訳にしか聞こえなくなってまうと思うし……」  それだけを言うと、雄介は再び頭を俯かせる。 「そんなことで望が、お前のこと許せるとでも思っているのか!?」 「俺やってな……望のこと心配で仕方なかったし……。 今回、東京で地震があったって聞いて、レスキュー隊で東京に行くって言われた時に真っ先に自分から行くとは言ったんやで……。 しかも、テレビでは連日のように東京で地震があったっていうこと言っておって、ホンマは直ぐにでも行きたかったんやけど、俺等だって、それなりの準備もあったしな。 だから、直ぐには行けんかったんやって。 それにな、携帯もなかなか繋がらなかったし、俺やって、ホンマに望のことは心配で仕方なかったんやって……。 ま、とりあえず、こっちに来れて、和也も望も無事でホッとはしたんやけどな」

ともだちにシェアしよう!