231 / 1471

ー天災ー52

 雄介がそう言い終えた後、望は机を叩きながら部屋を出て行ってしまった。 「あーっ! ビックリしたー!! ちょっと待てっ! 望! どこに行くんだよっ!」 「うるせぇー!! どこに行こうが俺の勝手だろっ!」 「まぁ、そうだけどさ」  和也が最後まで言わないうちに、望は部屋を出て行ってしまった。 「ほら、お前がちゃんと望に言ってやらなかったから……望のやつ、怒っちまったんじゃねぇのか? どうするんだよ!」 「せやけど、今の俺には望のこと、止めに行くなんてことできへんし」 「……ったく。 何なんだよっ! 何で、今日のお前はそんなに弱気なんだ!?」  和也は立ち上がって雄介の元へと向かい、いきなり胸ぐらを掴んだ。  和也も今の雄介には相当腹が立っているのであろう。 「お前なぁ、いい加減にしろよっ! お前がいなくなってからの望の気持ち、お前に分かるのか!?」  しかし、それでも雄介は口を開こうとはしなかった。  雄介自身、今回のことは自分が悪いとわかっているからこそ、なかなかその理由を口にしないのであろう。 もう今回のことに関しては百パーセント自分が悪いのだから、ただひたすらに望に謝り通して許してもらうしか思っていないのかもしれない。 「あぁ!! もういい! 雄介がその気なら、もう、今後一切、望に近寄らないぞ!」  その和也の言葉に雄介も、 「……おい! 流石にそれはお前に言う権利はないやろうがっ!」 「今の望の気持ちをお前にぶつけてやったまでだ! きっと、望だってそう思っていると思うぜ……」 「なんだとー!」

ともだちにシェアしよう!