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ー天災ー54

 本当にビックリするほど、東京の街並みは変わり果てていた。  今まで都心部を象徴するかのようなビルも崩壊し、これまでの景色が一変しているのを思い出す。 今まで住んでいた街がたった一度の大地震でここまで変わってしまうものなんだと実感した瞬間でもあった。 一軒家もマンションも何もかも崩れている街。 道も電柱もひび割れ、道路には割れたガラスが散乱していて、歩けるような状態ではなかった。  そこには生中継で放送されているよりも、生々しい光景が広がっていた。  一体この中でどれだけの人が助かり、どれだけの人が亡くなったのであろうか。  今のこの状況では全くもって把握できない。  そもそも電気さえ通ってもいないのだから、今はその状況さえ分からないということだ。 「とりあえず、そんなこと言っても俺はまだ彼を許したわけじゃないからな……!」  考え込んでいた雄介だったが、ふと現実に戻ってくると何やら和也と望が言い合っているようだ。  考え込んでいた雄介は二人の会話は聞いていない。  雄介は自然と和也と望の方を見る。 「雄介だってさ、きっと理由があるんだと思うぜ。だから、今回のことは許してやれよ」 「なーんだ? 和也が雄介の肩を持つのか?」 「別にそういうわけじゃないけどさ。さっき、望だって言ってたじゃないか。こういう時だからこそ、争うなって。その言葉、忘れさせないぜ」 「……!?」  そこで望は息を吐き、 「……わかったよ。 協力はするけど、許しはしないからな!」  そう言うと望は書類の方に目を移す。 その望の行動はそういう話が苦手なのだろう。 そこは昔から変わらない所でもあるのだから。 でも気になるといえば気になる所なのであろう。 「だってさ。 今の会話、聞いてたんだろ? 雄介」 「あ、ああ……おう!」  いきなり和也に話を振られて反応する雄介。  やっとこれで二人の仲が縮まるチャンスなのだから。 「ほな、とりあえず、明日から頑張るか!」

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