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ー天災ー55
「……え? 雄介って物資だけを運んできたんじゃなかったのか?」
和也はそう言うと、二人の関係が少し戻ったように感じ、安心した様子でソファに座った。
「まぁ、物資もそうだけど……俺たちがここに来た理由がもうひとつあんねん。 レスキュー隊っていうんは、こういう災害があったときに人命救助のために来るんや。 だから、しばらくの間は俺たちレスキュー隊は東京にいることになるんや。 まぁ、いつまでいられるかはわからんけどな」
「へぇ、そういうことだったんだ。 じゃあ、雄介は頑張るんだぞ!」
「分かっておるって……。 俺は望がいるんやったら死ぬ気はないからな」
確かにさっきは和也のおかげで望は雄介とは完全に仲直りしたわけではないが、和解の一歩を踏み出した。 だから望は和也と雄介の会話を一応聞いていた。
とりあえず今の会話からすると、雄介はまだしばらく東京にいることになりそうだ。 望はそのことに安心と、ちょっと嬉しい気持ちを抱いているのか、会話を聞きながら微笑んでいた。
「……たく。 妬けるほどにお前たちってラブラブなのな……」
和也が少しため息をつきながら言った。
「当たり前やんかー! 俺たちは恋人同士なんやからな」
「そうだな。 俺たちの方も生存者のために頑張らないとなー! な、望……」
「あ、ああ……そうだな」
まだまだ東京が完全に復旧するまで時間がかかるかもしれないが、こうして頑張る者がいる限り、早く復旧できるかもしれない。
「さて、そろそろ寝る時間かな? ってなわけで、雄介はソファで寝ろよ」
和也はそう言いながら寝室の方に向かい、雄介に布団を投げ渡す。
それが見事雄介の頭に当たってしまったのか、
「痛ったー! ちょ、いきなり何すんねん!」
「ん? 布団を投げたら、お前の後頭部を直撃しただけだろー」
和也はそんな雄介に笑いながら話した。
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