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ー天災ー69

 望はそう言い終えると、雄介とは反対側を向いてしまった。  目の前に恋人がいるのに、望がこういう行動を取ってしまうのか。 望がこういう行動をする時というのは大抵和也がいる時だけなのかもしれない。 雄介と二人きりの時には別にこういった態度は取らないような気もするのだが、やはり近くに誰かがいると素直になれない望。  こう望は心とは裏腹な事を雄介に言ってしまっているという自覚はある。  望だって雄介の事は好きだ。 だけど何か心の中で邪魔をしていてイチャイチャやラブラブな事をしたいのに素直になれない。  まぁ、今は大きな地震があった後だからというにもあるのかもしれないのだが。  だってこういう時にこういう風に恋人とイチャイチャな事をするなんて、なんかこう違う気もする。  でも雄介とは数日または数週間しかいられないのだから、そこは別にいいのではないかと思うのだけど、そこも今は出来ないような気がして仕方がない。  それからいつもの目覚ましで目を覚ます三人。  地震が起きてから四日目。 未だにライフラインは一つも復旧していなかった。  望は半身を起こすと、 「よしっ! 今日は自分の家に行ってみるぞ!」 「ホンマに行く気なんか?」 「やっぱ、家がどうなっているかは気にはなるんだよな?」 「ま、確かにそうなんだと思うねんけど。 やっぱ、外に出るのはおススメ出来へんな……余震の方もまだまだ続いてる訳やし」 「だから昨日言っただろ?  雄介は別に興味が無ければ来なくていいって」  雄介の方はその望の言葉にため息を吐きながら半身を起こすのだ。

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