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ー天災ー94

 和也は裕実に肩を貸すと、望がいる診察室へと戻ってくる。 「まぁ、これで、ひと段落したみたいだな」 「そうみたいだな」  和也は裕実のベッドに座らせると、その隣に腰を下ろす。  そして和也はそのベッドに座ってからはいつものように話をしてこない。 しかも顔を俯けてしまっていた。  そんな様子の和也に望は何か気付いたのであろうか? 「和也……どうしたんだ?」  そうニヤつきながら言う望。 「ん? あ、いや……なんでもないけど……」 「気持ち悪いのか?」  顔をうつむけてしまっているのだから、にやついてはいるのだが、気持ち的には心配になる。  だが長年一緒にいるのだから、なんかいつもとは様子の違う和也に何か違うものを感じているのかもしれない。  そして軽く和也の顔を覗き込む望。 「じゃあさ、気持ち悪いとか? 体調が悪いとかでもないのに……なんで顔を真っ赤にさせてるのかな? ってか、気持ち悪いのなら、青いんだっけ? じゃあ、熱でもまた出たのかなぁ?」 「ぁ……え? ちょ、望っ!」  和也はその望の突っ込みに暫く黙っていたのだが、急に大声を出して望の手首を掴み、トイレへと連れ込むように引っ張る。 「え? あ……ちょ! 和也……! いきなりなんだよっ!」  和也は望をトイレまで連れて行くと、望の手首を離し、

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