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ー天災ー122
望はそれに気付き、後ろを振り向くと、そこには先程会議室で挨拶をしていた望の親父であると言われている吉良 裕二 の姿があった。
「相変わらずだね、君は……」
「うるせぇー、いいんだよ。 俺はまだこれで、誰も気にかけて来ない方が俺的には気楽だしさ」
「まぁ、そういう事なのかな? 望はそういうところ苦手だしね……でも、コミュニケーションは大事だよ」
「分かってるって。 とりあえず、今、俺達はあの地震で大変な目に合ったんだ……休める時に休ませろよ……今、本当に疲れている俺達をただの挨拶だけで呼び出すな」
「だけども、一応、院長が帰って来たっていう報告くらいはしておかないとね? だって、今回の地震で結構人員の方も揃えて来たんだからさ」
そこには反応した望だったが、それでも自分の親父にはめんどくさそうに、
「とりあえず、分かったから、俺達の方は本当に疲れてるんだ……休ませてくれよ。 それと、あんま俺に話掛けんなよ。 俺と親父が親子だっていうのは病院内にあんまり知れ渡って欲しくねぇしさ」
「はいはい……」
そう裕二は素直に返事をすると、とりあえず望は和也や裕実の背中を押して部屋へと戻って行く。
これから暫く裕二の登場で望には忙しくなりそうだ。
望はため息を吐きながら部屋へと戻る。
「なんや、案外早かったんやなぁ」
「あ、ああ……望の親父さんが帰国してきて、ただの報告だけだったからな」
「望の親父さん!? それ、ホンマかぁ!?」
それを聞いた雄介は驚いた表情を見せる。
それは恋人である雄介だって知らなかった事なのだから。
だが確か望の話では望の親父である裕二は外国にいるとは聞いていたのだが、まさか帰国しているとは思わなかったって事だろう。
よくよく考えてみると部外者である雄介がここにいる場合ではないような気がしたのか雄介は慌てた様子で、
「望! 俺、ちょっとあっちに行って来るわぁ」
そう慌てた様子で雄介は荷物をまとめて出て行こうとしたのだが、
「まぁ、そう慌てるなよ。 ここには多分、親父は来ないだろうしさ、さっき、それ言っておいたし、平気だって」
そう望にフォローされたって雄介は落ち着く事は出来ない。
「それに、もし、ここに親父が来たとしても、雄介の事、ちゃんとフォローしてやるからさ」
そんな事を言って望の方は余裕でいるのだが、裕二は暫くここにいるとの事だから、ここにいつ来てもおかしくはない状況でもある。
そこで雄介と裕二が鉢合わせをしたら望はどんな事を裕二に言うのであろうか。 流石に雄介が望の恋人だって事は流石に口には出来ないのかもしれない。
だが望の表情からすると何か秘策があるのかもと思うしかないだろう。
「それなら、ええねんけど……」
そういつものように明るく振る舞う雄介。 相変わらず部屋内は四人も今はいるのだから騒がしいというのか明るいというのか。 仲間同士で仲がいいからこそ賑やかなのかもしれない。
「そんな事言ってて大丈夫なのか? 本当に、ここに望さんの親父さんが来てもさ」
そう雄介のノリに乗って来ているのは和也だ。
「きっと、大丈夫なんやろ? もし、来たら、望の恋人は俺です! って、宣言したるし……」
空元気というのか、ここに裕二が来ないと高をくくっているのか。 雄介は大声で言っているのだが、雄介がフッと気付くと望はもちろんの事、和也や裕実までも静かになってしまっていた。
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