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ー空間ー30

 そう言うと望はカウンターへと食器を戻して食堂を後にする。 多分、この時間はの望からしてみたら雄介とメールの時間だからであろう。  和也からしてみたら望と雄介のカップルというのは羨ましいと思う。  だって、こう遠くにいたって雄介と望というのはメールのやりとりをしているのだから。 そう和也と裕実というのは近くにいるのにメールのやり取りも少しだけだからだ。でも今日はやっとデートに漕ぎ着けたような気がする。  和也にしてみたら少しばかり遅すぎる展開だったのかもしれない。  そう和也の場合には告白したら即デートしてホテルとかっていうのは当たり前だった筈だ。 「どうしちまったのかなぁ? 俺……。 確かに裕実の事は好きなんだけどさ……」  と一人そう呟く。  いや自分の中ではなんとなくだが裕実に手を出せないのは分かっているような気がする。  多分、原因は望だろう。 そうだ望の事ばかり気にし過ぎて自分を犠牲にしてきたからではないのか?  でも今はもうさっきの望の言葉で吹っ切れた。 だからこれからは望の事は気にしないで裕実と恋人らしい事をしようとも思った。 そうだ和也がそう吹っ切れた理由というのは望がさっき言ってくれたからだ。  そう思うと和也は食堂内を見渡す。

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