365 / 503

ー空間ー31

 すると、この食堂の一番奥の方で裕実はコンビの医者と食事している姿が目に入る。  和也はそれを確認すると携帯を取り出し裕実にメールを送るのだ。 『今の時間、空いてるんだろ? 食事が終わったら屋上にきてくれよ! 待ってるから……』 『はい! 分かりました! 僕の方も食事は終わったので、直ぐに行きますよ!』 『ああ』  和也はそう一言だけ入れると食べ終えた食器を片付けて屋上へと向かうのだ。  和也が屋上へと向かうと視界に入って来たのは望の姿だ。  望は屋上にある柵に寄り掛かって携帯を見つめメールを打っている。  望がいると流石に裕実と会っている所を見られるのはヤバイと思ったのか和也は望とは反対側にある壁の方へと隠れる。  とりあえず屋上に上がるにはその階段しかない。 その階段の所だけ四角い建物になっている。 その反対側に隠れていれば望からは見えない位置にはなる。  そして和也が屋上に来て二、三分もしないうちにどうやら裕実は来たようだ。  裕実は屋上へと繋がるドアを開けると和也の時とは違い望と目が合ってしまっていた。 「あ! 吉良先生!」  しかも先に声を掛けたのは裕実の方だ。 「おう、本宮さんか……。 え? なんでここに?」 「え? 和也さんに呼ばれたんですけど……」  こうも裕実という人間は素直なんであろうか。 望の質問に真面目に答えてしまっていた。

ともだちにシェアしよう!