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ー空間ー116

「分かってるよ……俺だってな……お前の事はよーく分かってるつもりなんだからな。 でも、やっぱ、さっきのは無しだよな。 でもさ、お前が一番に俺の事好きだって言う事も分かってる。 俺だって、お前の事好きだっていう気持ちは変わらねぇしさ」  望にしては珍しく素直な気持ちを雄介に伝えたようだ。 「ああ! 勿論! 俺もやって! 俺も望が好きな気持ちはずっと変わらへんよ」  いつもの雄介ならここで調子に乗ってしまうところなのだが、さっきみたいに甘い時を逃さないように雄介の方もそう答える。  そしてしばらくの間、お互いの気持ちを確かめるかのように抱きしめ合っていた二人なのだが、 「望……そろそろ行かへんか? 和也達の事、待たせておるし」 「うん……ああ、そうだな」  だがまだ望の方は何だか名残惜しそうにしていた。 「な、雄介……行く前にさ……あのな……」  望はそう言いにくそうにしているのだが、望が言いたい事が雄介にはちゃんと伝わっていたのか、 「大丈夫やって……今、俺もな……丁度、それ思ってたところやしな」  雄介はそう言うと、 「な、望……もし、俺と同じ思いやったら、上向いてくれへんか?」  雄介がそう言うとほぼ同時ぐらいに、望の方は雄介の事を見上げる。 「同じ気持ちで良かったわぁ」  雄介はそう微笑むといつも掛けている望の眼鏡を外し、望の頰を両手で包むと、先ずは額へとキスを落とし、そして瞳を閉じている瞼にもキスを落としていく。 頰へとキスをすると最後には唇へと唇を重ねる雄介。  やはり久しぶりの恋人からのキスというのは気持ち良くて、こう幸せに感じるのは気のせいであろうか。 「ほな、続きは明日になるんかな?」 「ああ、そういう事かな?」  雄介は望の手を取って出て行こうとしたのだが、やはり外ではそういう事を嫌う望は雄介から手を離してしまう。  その望の行動に雄介は一瞬、ため息は吐いたものの、雄介は望の事は分かっているのか、そこで手を離すのだ。 「ついでやから、俺もしてこー」  そう言う雄介に対して望は顔を赤くさせる。 「望はせぇへんのか?」 「いやぁ……そうじゃなくてよ……」  そう言いながら雄介はズボンもチャックを開けていたのだが、「トイレに行く」と言って出てきた望だったのだが、なかなかしようとしない。  元から望は誰かとトイレに行くとかそういうのは苦手な方で、更に恋人と一緒になると余計に恥ずかしくて、余計にしずらいのであろう。  どうにかして、そこから望は出て行こうとするのだが、 「我慢は良くないで……っていうんかな? 我慢しちゃアカンやろ? 流石にそこは病気になる事位分かっておる訳やしな。 望が俺と一緒にしたくないんやったら、俺はもう外で待っておるしな」  望はその雄介の言葉に足を止めるのだ。 「ほな、外で待ってるな」  そう言うと雄介は手を洗い、先にトイレを後にする。  そこまで言われてしまったら流石の望も我慢する訳には行かず、望はトイレを済ませると、手をハンカチで拭きながら、トイレの外で待っている雄介の元へと向かうのだ。 「お待たせ……」 「ほな、戻ろうか?」 「ああ……」  二人はさっきいたファミレスへと戻って来ると、既にお皿は片付けられていて、和也と裕実はデザートを口にしていた。

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