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ー空間ー162

「せやな……ほな、待っといて……」  そう、雄介は余裕ありげに言いながら、犯人達ではなく白井刑事を手招きして呼び寄せた。  雄介の考えでは、犯人達の仲間を呼ばずに白井刑事に電話に出てもらい、その間に雄介が操縦席の方に向かうという計画だ。  いきなり雄介に呼ばれた白井は席を立ち、隣にいた望にパソコンを渡しながら、首を傾げながらも雄介のいる場所に向かった。 「白井! 後は電話の応対頼んだでっ! 俺が知ってる中で頭の回転が良さそうなのはアンタだけやしな。 とりあえず、その電話は操縦席にいる犯人からや……なるべくなら長引かせてくれたらええねんけど……。 その間に俺は操縦席の方に乗り込んで行くしっ!」 「そういう事ですか……分かりました。 僕がその役目……果たす事にしますよ。 今日はいっぱい君にいい所をもってかれてますからね」  その白井の言葉に雄介は何か突っ込みを入れたかったが、とりあえず押さえて白井に任せると、雄介はやっとドアの前に立つことができた。  そして雄介は白井に電話に出るよう指示を出すのだ。 「電話の方変わりましたけど……」 「やっと、出たか……」  操縦席にいる犯人からこんな意外な言葉が返ってきた。  今、電話に出ているのは機内の方にいる犯人ではなく白井だったのにも関わらず、操縦席の方にいる犯人の一人はそれを受け入れているようにも思える。 しかも、その白井が自分の仲間だと思って話しているようだ。  向こうが勘違いしているならば一か八か、白井がハイジャック犯の一人になりすまして会話を続けてもらうしかないだろう。

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