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ー空間ー163

 いや、もしかしたら意外にも雄介は気付いているのであろう。 だから白井に電話を変わったのかもしれないのだ。  そう、白井の声はある犯人の声に似ている。 だから雄介はそこに一か八か掛けた。 それは、どうにか成功したようで、白井は犯人と会話をしている。  とりあえず、その二人の会話を聞きながら、雄介は操縦席のドアの前に立って、入るチャンスを息を潜めながら待っていた。 「ああ、乗客ですか? 今、うるさいのが電話に出たようなんですが、他の人たちは今はもう大人しく客席に座っていますよ」  だが、白井に変わったのは失敗したと雄介は思ったのかもしれない。 だって演技が物凄く下手だ。 声は確かに犯人の一人に似ているものの、口調はあまりにも似ていなさ過ぎる。 そんな二人のやり取りに、雄介は息を吐くのだ。 人選を間違えたような気もするのだが、そこは、まぁ、警察関係者でもある白井に任せるしかなかった。  きっと雄介の中では、犯人にバレやしないか? と思っているのかもしれない。  だが耳をドアへと当ててみると、操縦席にいる電話に出ている犯人の方も、未だに白井が出ているということに気付いてないようで、そこに安心する雄介。  そこまでいくと犯人たちは頭がいいのか悪いのかが分からなくなってくる。  まぁ、とりあえず今は犯人の聞き間違いで勘違いしているのだから、それはそれでいいだろう。 とりあえず雄介は本格的に操縦席の方へ突入するべく、いよいよさっきフライトアテンダントに聞いた暗証番号を打ち込み、そのあと一気にそこのドアを開けて中へ突入する。  すると、狭い操縦席内で倒れている機長と副操縦士の姿が目に入るのだった。

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