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ー空間ー219

 望的には、こんなにも病院に人がいるとは思っていなかったのであろう。 入口から入って左側にロビーがあるのだが、そこにもたくさん人がいて、しかも各科の前にも椅子がある。 その両方には本当にたくさんの人々が待っていた。  そこで望は、ある患者さんの言葉を思い出す。 「病院は朝一番で来るのがいい」という言葉だ。 「これを逃すと何時間待たされるか分からない」とも。 望は病院で働くようになってからは、外来に行ったことがなかったのかもしれない。 今やっとその患者さんたちが言っていたことが分かったような気がする。  受付を済ませて、そこから一時間半位経った頃だろうか? やっと雄介の名前が呼ばれ、雄介は行ってしまう。 すると五分位で帰ってきた。 「案外、早かったんだな」 「せやな……こんなもんやろ?」 「んー、まぁ、そうなんだけどさ」  どうも望は納得しないような顔をしている。 「どないしたん?」 「いやな……さっきから考えているんだけどさ」  望は立ち上がると雄介の後に続いて、今度は会計がある方へと向かう。 「だってさ、俺らは十時位にここに来たんだぞ。 それで、かなり待たされて、診察時間がたったの五分ってなー」 「はぁ!? 俺からしてみたらむっちゃそれが普通なんやけど……」 「そうなのかもしれねぇんだけど、患者さんのこと、待たせるだけ待たせておいて、診察時間なんかホントに無いようなもんじゃん……だからさ、そこを改善する方法って何かないのかな? って思ってさ。じゃあさ、もし、救急車まで呼ばなくてもまだギリギリで自力で来れるような人が急変したら、どうするんだろ? って思っちまうんだよな」  そう望が一人で語っているうちに、会計の場所へと着いた望たち。 そこでもさらに待たされる。

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