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ー空間ー228
そこまで言うと雄介は望の体を反転させて、
「ほな、また、今度なっ! 次はいつ会えるかっていうのは分からへんけど、必ず会いに行くし、待っておってな」
雄介はそう言うと、今度は望の背中を押して送り出した。
その時の望はもう一切、雄介の方には振り向かずに搭乗口へと向かった。
そう、雄介の方に振り向いてしまったら、今日の自分は足が止まってしまうような感じがしたからかもしれない。
さっきまでの二人は残り時間が一時間しかないと思っていたのだが、それが嘘のようにとうとう別れの時間が来てしまった。
あの二人だけで過ごした三日間が、今は嘘のように普通の生活へと戻っていった雄介と望。
いつもと変わらない日常。
いつもと変わらない仕事。
いつもと変わらない雄介とのメールの時間。
それから数ヶ月後。
望はもう雄介がいない生活に慣れた頃だろうか。
いつものように望は昼休みに屋上に出て雄介とメールをしていた。
今日のメールには雄介が休みだということが書いてあった。 それは昼休みいっぱいメールができるということだろう。
何通かのメールをした後、望は時間になると携帯の電源を切って午後からの診察の準備へと向かった。
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