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ー雪山ー36

「そりゃな……お風呂では望には手を出さないって言ったしな……」 「だからって……」  望はそこで言葉を詰まらせてしまう。 「だから……なんや?」  そう雄介のいつもより低い声がトイレの中から聴こえてくるのだ。  それはまだ雄介がさっきの事を怒っているという証拠だろう。  望はひと息吐くと顔を赤くし頭を俯かせ、 「だからってな……一人でスる事は……ねぇだろうって……」 「……そういう風に言うてくれてるけどな……望はあの場でヤらせてくれたんか?」  そう言う雄介のストレートな言葉に再び黙ってしまう望。  暫くの沈黙の後に望は今まで隠れて話をしていたのだが、雄介の前へと姿を見せ、雄介の前まで行くと徐にモノを咥えるのだ。  いきなりの望の行動にパニックになったのは雄介の方だ。 「ちょ……ぁ……あー、えーと……望……っ!」  普段の望ならこんな事はしない。  だから雄介がパニックになってしまったということだろう。  トイレ内には望が雄介のモノを舐める音が響き渡る。  だが人間というのは『欲』というものには本当に勝てる事は出来ないようだ。  それに一人でやるより二人でやった方が気持ちいいというのは、もう体で知ってしまっているのだから余計にだろう。 それにも増して恋人がやってくれているのだから内心では飛び上がってしまう程、今の雄介にとっては嬉しい事なのかもしれない。  少し怒ってしまっていた雄介なのだが、やはりそこは人間というのか恋人にこういう事をされたら、もう怒る気にはなれないだろう。  とりあえず話は後にして今は望に任せようと思ったのかもしれない。  流石にまださっき教えただけあって上手くはないのだが、雄介からしてみたら十分過ぎる程だ。  一人でヤってる時よりも声が出そうになるのだが、そこは手で口を塞いで我慢する雄介。  いや、もしかしたら今日和也達がここに泊まっていなければ口を塞いでいなかったのかもしれない。  せっかく今日は望と二人きりの時間を和也達に邪魔されているということなのだから。

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