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ー雪山ー42

 やっと望も落ち着いてきたのだろう。 ベッドを降りようとしていた雄介の手を取り、 「雄介……さっきはゴメン……」  そう小さな声で言ったが、 「分かってくれたんだったらええよ。 俺の方は気にしてへんからな。 ほな、行くで!」  雄介は望の手を引くと、望を立ち上がらせる。 「ああ……」  望は雄介に向かい笑顔を向けると立ち上がり、雄介と一緒に下へ向かうのだ。  雄介たちもテーブルに着くと、和也が、 「遅かったんじゃねぇのか? まさか、朝から勃っちまってやってきたとか言うんじゃねぇだろうな?」 「流石にそんな短い時間でできる訳ないやんか……」 「ま、そうだけどよー、お前らならできなくもないかな? って思ってさ……」 「それに、お前らがいたんじゃできる訳ないやろ?」  雄介はパンにバターを塗りながら言う。 「じゃあ、いなかったらやってたのかよー」 「多分な……」  雄介はそう答えると、パンにかじりつく。 「ま、いーや……。 望! 昨日頼んでおいたことやっておいてくれたか?」 「あ、悪ぃ……まだだ……」  望はいつもより暗い声で答える。  そこに気付かない和也ではない。 それに気付いた和也は、パンにバターを塗りながら首を傾げる。 「あ、あー! それ、俺がやっておいたわぁ」 「雄介がっ?」 「おう……。 望の部屋にパソコンあるやろ? いい所はピックアップしといたし、プリントアウトもしといたし、後で持ってくるなぁ」 「ん……あ、いいよ……」  和也は小さな声で答える。 「へ? 何か言うたか?」 「だから、持ってこなくていいよ……ってな。 俺たちはさ……朝食終えたらすぐに帰るし、それに、今日はせっかくの休みだろ? だから、デートにでも行きたいしな。 後は雄介たちに任せるよ……勝手に決めて、予約だけしといてくれたらいいしさ」 「あ、ああ、そういうことな」 「んじゃあ、よろしく」  和也は笑顔で言うと、雄介も笑顔を返す。  裕実も和也からのサインに気付いたのか、和也とのアイコンタクトに気付き、和也に向かい笑顔を向けるのだ。

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