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ー雪山ー117
洋服などはクローゼットにしまえるようだ。そのおかげで、和也の部屋は一層シンプルに見える。
「まあ、上着はこのハンガーにでも掛けて、望はゆっくりしててよ。俺は飯作ってくるしさ」
和也はそう言いながら上着をクローゼットに掛け、シャツの袖をまくってキッチンに立つ。
望も和也に頼まれ、スーツの上着をソファの背もたれに掛け、ソファに座る。
「望さぁ、悪いんだけど、テレビつけてくれねぇかな?」
「あ、ああ、おう」
望は和也にそう言われ、リモコンでテレビをつけようとするが、ガラステーブルの上にはたくさんのリモコンが置いてあることに気づく。
「なんでさぁ、お前ん家にはこんなにリモコンがあんだ?」
「知らねぇよ。気づいた時にはこんなにあったんだからな。テレビのリモコンだろ? DVDのリモコンだろ? コンポのリモコンだろ? エアコンのリモコンに照明のリモコンってところか?」
和也はそう言いながら、指折り数える。
「しかし、今は照明のリモコンまであるんだな」
「みたいだな。俺だって最初はビックリしたぜ。普通なら、電灯についてる紐を引っ張らなきゃなんねぇのに、今はリモコン一つで電気が点くんだからな。まあ、もっといいところなら、人がいるとかいないとかを感知して自動で電気が消えたり点いたりっていうのもあるらしいんだけどさ」
「だよなぁ、家もそろそろリフォームした方がいいのかな? それに、リモコンとかって楽そうだしさぁ」
そう言いながら望はテレビのリモコンを見つけ、テレビをつける。
「……で、お前は何が見たいんだ?」
和也はキッチンで野菜を軽快なリズムで切っているようだ。その音が部屋中に響き渡っている。
「ん? 適当でいいよ。俺の方はテレビがついてればなんでもいいからさ」
「じゃあ、ニュースな」
そう言いながら望はチャンネルを変えていく。
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