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ー雪山ー118
望がチャンネルを変えた頃には、キッチンの方でフライパンで何かを焼く音が聞こえてくる。それと同時に、いい匂いも漂ってきた。
望は、和也の料理ができるまでソファでゆっくりとテレビを見ているようだ。
「はい! できた! 確かにできたけどさ、ゴメンな……腹減ってたし、簡単な焼きそばでよ」
「ああ、そこは全然気にしねぇよ」
和也は野菜たっぷりの焼きそばを皿に盛り、テーブルへと運んでくる。
「なんか美味そうだな」
「ん? まぁ、野菜ばっかりでごまかしているけどな」
「じゃ、いただきます」
そう言うと、食べ始める望。
和也はふと考えた。さっき感じたことは気のせいだったのだろうか。今の望はいつもと変わらないように見えるからだ。
和也はいつもと変わらない望に安心し、自分の家に帰宅したこともあって体の力を抜く。
それから二人は食事を済ませると、
「望……体調の方、平気ならさ、風呂入って来いよ。まぁ、体調がまだ悪そうなら入らない方がいいのかもしれねぇけどさ」
「あ、ああ、まぁ、とりあえず入らせてもらおうかな?」
「じゃあさ、パジャマ。俺の使っていいし」
和也はそう言うと、クローゼットの中にあるパジャマを出してくる。
「ああ、サンキュー! じゃあ、先にお風呂の方、使わせてもらうな」
「おう……」
和也がそう返事する頃には、望はもうお風呂の前に来ていた。
「なあ、ここには脱衣所とかっていうのはないのか?」
「まぁ、そこは仕方ねぇんじゃねぇか? だって、この部屋は一応一人暮らし用だしさ。一人暮らし用なんだもん。普段は一人なんだから脱衣所なんか必要ないもんなんだしな」
「え? あ、そうなのか?」
「そういうもんだろ?」
和也が一瞬、望の方に視線を向けたときに、望の顔が赤くなっていたように思えたのは気のせいであろうか。
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