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ー雪山ー154

 そう言うと、雄介は望の方に笑顔を向ける。  その雄介の行動に、望も笑顔で、 「ああ」  と答えるのだ。 「俺たちの方はそういうこっちゃ」 「そっか、なら、いいか」 「ああ」  和也は裕実と一緒に窓の外を見ると、雲一つない青空に、まるでトンネルのように積もっている雪の壁とのコラボレーションに感動しているようだ。  東京ではこんなには雪が積もったことがない。だから、こんなにもたくさんの雪が積もる場所に行かなければ見られない光景だ。  東京にあまり雪が降らないのは地球温暖化というのもあるのだが、本州の中央部には山脈や山が並んでいる。その山々が邪魔をして雪雲が山を越えることができないからである。太平洋側で雪が降る場合には南岸低気圧が迫って来ている時に降ることが多いのだが、それだって日本海側のように降ることはない。 「僕、こんなに雪をたくさん見たのは初めてですよー!」 「まぁ、俺の方はたまに来てたから見たことはあったけどな」  そんなことを話しているうちに、車はスキー場の駐車場へと着きそうだ。 「そういや、雄介たちにスキーの話は任せておいたけどさ、旅館じゃねぇのか?」 「ん? 旅館じゃなくてコテージにしといたわぁ。だって、いろいろな意味でコテージの方がええやろ? ま、露天風呂の方は少し離れたところにあるらしいねんけど……」 「あー! さすが! 雄介! そういうことねー!」 「そりゃな」  そう雄介が言った直後、望はわざとなのか急に急ブレーキをかけて、 「痛っ! 望なぁー」 「あ、悪ぃ、悪ぃ……ブレーキとアクセル踏み間違えちゃったみたいだ」 「そんなんちゃうやろ?」  そう雄介は衝撃でどうやら頭をヘッドレストにぶつけてしまったらしいのだが、やはりシートベルトのおかげでそんなにダメージはなかったのか、打った頭を摩りながら車を降りて行く。 「さぁな……」 「……ったく。望は相変わらずやっちゃなぁ」  雄介はサクサクと雪を踏み鳴らしながら、荷物が入っているトランクの方へと向かう。  雄介が降りた後、和也もトランクの方に向かい、和也は裕実に向かって、 「裕実の荷物は旅行鞄一個分かぁー、持ってやるよ」 「ありがとうございます。さすが、和也さんですね!」

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