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ー雪山ー194
和也はその雄介の言葉に呆れたようなため息を吐くが、確かに雄介の言いたいことはよく分かる。たぶん、和也も雄介と同じ立場なら、治療云々の前に裕実のことを探したいと思うだろう。
「……ったく、分かったよ。とりあえず、俺の肩に掴まれ。その足じゃ、歩くことなんかできないだろうしな」
和也の言葉に雄介は笑顔になる。そして和也は雄介が肩に掛けやすい位置に腰を下ろし、雄介が肩へと腕を回したところで立ち上がる。
とりあえずスキー板一式はその場に置いて、二人は再び上に向かって歩き始める。
相変わらず吹雪はおさまる気配はない。いや、むしろ先ほどより風が強くなってきているように思える。視界もほぼゼロに近いまま、二人は望や裕実を探すために歩き続けていた。
しばらく雪山を歩いていると、山小屋らしき建物が見えてきた。
「雄介! とりあえず、あそこの山小屋に行ってみようぜ。もしかしたら、裕実や望はあそこで待機してるかもしれねぇだろ?」
「せやな……確かに今まで下にも上にも途中にも望たちの姿を見かけんかったんやから、そこにいるかもしれへんしな」
「そういうことだ……」
和也たちはとりあえずその山小屋へと足を向ける。
和也たちがその山小屋に辿り着くと、人の気配に気づいたようで「もしかしたら?」と思いながらドアを開けた。
「裕実、望? いるのか?」
和也がドアを開けると、望たちがそこに居た。
「ま、そういうことだ」
「そっか……雄介は俺たちのために怪我までして、ここまで来てくれたんだな」
「ああ、そういうこと。ホント、お前らってラブラブなんだな」
「まぁな……」
望はそう聞こえるか聞こえないかの声で返事をしたが、どうやら望の隣にいた雄介と和也にはそれが聴こえてしまっていたようだ。
二人はその望の言葉に驚いたような表情で望の顔を覗き込んでいる。
その視線に気づいた望は顔を赤くし、
「べ、別に……そういう意味で言ったわけじゃねぇんだからな」
「じゃあ、どういう意味なんだよ。望が顔を赤くしたってことは、そういうことだろ?」
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